那須烏山の “山あげ祭” 冬に取材をしてみると... 当番町、早くも「はりか山」補修中

山に烏山和紙を丁寧に貼っていく若衆ら

 【那須烏山】那須烏山の“アレ”と言ったら何が思い浮かぶだろうか。山あげ祭を筆頭に、アユや観光やななど、夏のイメージが強いものばかりなのでは。夏に注目される市内のスポットをあえて冬に取材してみると、それぞれの来夏に向けた熱い思いが聞けた。

●山あげ祭●

 毎年7月下旬に開かれる山あげ祭。本番まで半年以上ある今月3日、祭りの準備作業所となる金井2丁目の山あげ烏章館(うしょうかん)に、子どもから大人まで15人ほどが集まり、野外舞台の背景となる「はりか山」の補修のため、竹製の骨組みに烏山和紙を丁寧に貼っていた。

 来夏の祭りの当番町・仲町は約50世帯しかなく、輪番制に加わる6町の中で最も規模が小さい。若衆の友人や子どもなど、町外からの助っ人も準備に力を貸している。

 「他の町は2、3月ごろからの準備が普通ですけど、うちは人が少ないので早め早めで」と筆頭世話人の山内崇(やまうちたかし)さん(51)。

 はりか山をはじめとする祭りの道具は輪番制に加わる6町それぞれが所持し、保管・管理している。当番町は6年前の祭りで真夏の日差しや時折の雨で劣化した道具を修復する必要がある。道具の中には高さ10メートルを超える大山もあり、作業には人手も時間もかかる。

 仲町は9月下旬からほぼ隔週日曜に集まり終日、準備を進めている。同館の床にブルーシートを貼るなど、作業場所の整備から始め、それぞれの道具の傷み具合を確認。現在の進捗(しんちょく)は1.5合目程度という。

 八雲神社の「追儺祭(ついなさい)(節分祭)」が終わる2月中旬からは毎週末、作業に当たる。5月には山の絵付けを始め、7月上旬のリハーサルまでに全ての道具を完成させる。

 祭りは若衆が烏山市街地各所で舞台を設置し、山を立ち上げる姿も見どころの一つ。山内さんは「準備の苦労を知っていれば祭りの見方も変わる。もちろん、若衆として参加するのも楽しみ方の一つ。祭りの一体感を味わいたい人、絶賛募集中です」と爽やかな笑顔を見せた。

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