「口笛ホン」考案 生笛奏者富山市の野中さん 陶器製、音を大きく鮮明に

口笛ホンで演奏する野中さん=富山市内

  ●演奏楽しむ人増えて

 口や手を使って音を出す「生笛(きぶえ)奏者」として県内を中心に活動する野中健二さん(74)=富山市茶屋町=は、口笛の音を大きく、鮮明にする器具「口笛ホン」を考案した。野中さんは、口笛が下手な人でも周囲に聞こえるほどに音が増幅され、容易に演奏できるとし、器具の活用によって口笛を楽しむ人が増えることを期待している。

  ●空気が振動、集約

 口笛ホンは、じょうごのような形状に穴を空けた陶器で、野中さんによると、口を覆うようにして口笛を鳴らすと空気が振動しながら集約されて音が大きくなるという。

 野中さんは富山市内で「生笛教室」を開いており、歌や楽器が苦手でも気軽にメロディーを奏でられる口笛や指笛の魅力を伝え、初心者らにこつを教えている。

 口笛は、楽器に比べて音が小さく、多くの人前で披露するにはマイクやスピーカーなどの音響装置が必要だった。しかし、マイクを使うと、風切り音が入ったり、ハウリングが起こったりするため、野中さんは口をマイクに近づけなくても音を拾える演奏の仕方を模索し、専用の器具を作ることにした。

 昨年から構想を練り、土をこねてさまざまな形の器具を考案。試行錯誤の末、空気が通る部分をじょうごのような形にし、息を当てる部分は空気が振動して響くように複数の穴を開けた。野中さんが土で形を作り、市内の陶芸家に依頼して完成させた。

 早速、口笛ホンを使って県内の公共施設やホールで披露。歌謡曲やシャンソンなどを演奏して好評を得た。教室生にも提供しており、希望者がいれば販売も検討するという。野中さんは「多くの人が口笛に取り組むきっかけになるといい」と話し、期待している。

じょうごのような形状の内側に複数の穴を開けた口笛ホン

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