小松冬とまとブランド化 JA、店頭でアピール 色薄くとも味で勝負

買い物客に試食を促す法被姿の生産者=小松市内のスーパー

  ●年間で最も甘い時期

 北陸最大のトマト産地である小松市で、冬出荷のトマトをブランド化する取り組みが始まった。競合する太平洋側の産地に比べて色が薄く育つため、これまで冬の生産を避けていたが、年間で最も甘みが強くなる時期であり、見た目よりも味で勝負することにした。「小松冬とまと」のブランド名で16日、県内の店頭に並び、生産者が買い物客に試食を勧めて甘さをアピールした。

 JA小松市によると、今年の夏秋トマトを生産した農家53人のうち半数近くの25人が「小松冬とまと」の栽培に乗り出した。従来は12月20日ごろで夏秋トマトの生産を終えていたが、今季は冬産を来年1月中旬まで金沢や小松の市場に出荷する予定で、出荷量は約30トンを見込む。

 トマト生産の資材価格高騰を受け、新たな取り組みで収入増を図る狙い。品種は、夏秋トマトにも使われる「りんか409」か「麗月(れいげつ)」を採用した。太平洋側の産地と比べ、冬場は日照時間が少ないためトマトの色が薄く育つものの、昼夜の寒暖差が大きいことから、甘みが強くなるという。

 小松市島町のAコープ粟津店では、若手生産者2人が法被姿で売り場に立ち、買い物客に試食を呼び掛けた。この日のトマトの糖度は、夏秋トマトの5度台に比べて高い6.9度だった。味わった北西弘子さん(67)=同市符津町=は「冬トマトは初めて聞いたが、おいしい。今度から購入したい」と話した。

 生産者の宮本達也さん(46)=同市蓮代寺町=は「甘いと評価してくれるお客さんが多い。ぜひ食べてみてほしい」とアピールした。

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