元ケータハムF1のギド・バン・デル・ガルデ、現役引退を発表。ELMSではGドライブでタイトル獲得

 元F1ドライバーで2016年からはスポーツカーレースに転向し、主にELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズやWEC世界耐久選手権などのLMP2クラスで活躍してきたギド・バン・ガルデが、レーシングドライバーのキャリアに終止符を打つと発表した。

 38歳のバン・デル・ガルデは、フォーミュラ・ルノー3.5でのチャンピオン獲得後、GP2シリーズ(現FIA F2選手権)を経て2013年にケータハムF1チームからF1にデビュー。わずか1年のみに終わったフルシーズン・キャンペーンの終了後はザウバーでテスト兼リザーブドライバーを務めた。

 その後、彼はフォーミュラから耐久レースの世界に移りプロトタイプカー・ドライバーとして、主にLMP2カテゴリーで国際的なスポーツカーレースに定着した。

 その最初のシーズンとなった2016年には、ロシアのGドライブ・レーシングから初参戦したELMSで、サイモン・ドラン、ハリー・ティンクネルとともにシリーズチャンピオンを獲得。また、同年はWECのLMP2クラスにもロシアンチームと、アメリカのエクストリーム・スピード・モータースポーツ(ESM)の2チームからスポット参戦し、ル・マンデビューも果たしている。

サイモン・ドラン、ハリー・ティンクネルとともに、2016年ELMSドライバーズチャピオンを獲得したギド・バン・デル・ガルデ(左)

 2018年からはレーシングチーム・ネーデルランドと5年間の提携を開始し、WECでは2018/19年、2019/20年、2021年の3シーズンにわたって母国オランダのチームを代表した。このチームでのハイライトは2019年に行われた富士6時間レースでのクラス優勝であり、オーナー兼ドライバーのフリッツ・バン・イアードと、来シーズンTOYOTA GAZOO Racingのレギュラードライバーを務めるニック・デ・フリースとともに表彰台の頂点に立った。

 2019/20年シーズンに計4回の表彰台を獲得した同チームは翌シーズンにLMP2プロ・アマクラスで戴冠を果たし、主戦場を北米に移した2022年にはIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権でさらに3回のポディウム・フィニッシュを果たしている。

 バン・デル・ガルデは今シーズン、2019年の途中からレーシングチーム・ネーデルランドの運営を担当していたTDSレーシングの北米でのフルシーズンキャンペーンに参加し、ロード・アメリカとプチ・ル・マンでLMP2クラス2位表彰台を獲得した。これと同時にWECでは代役ドライバーとしてふたつのレースでユナイテッド・オートスポーツに加わり、この内のひとつとなった第2戦ポルティマオでクラス優勝を飾った。

 40歳を前にヘルメットを脱ぐ決断を下した彼は、引退を決めた理由と将来について次のように語っている。

「僕は子供のころから情熱の赴くままに走ることができた。それは特権だったと思う。素晴らしい時間だったよ。ワールドチャンピオンに2度なったし、F1への夢も叶えることができた」と自身のレーシングキャリアを振り返ったバン・デル・ガルデ。

「僕のキャリアに関わり、助けてくれたすべての人たち、とくに両親や義父(オランダの有力者マルセル・ブックホールン)、妻のデニースに感謝している。彼らなしには僕がこれまでしてきたことはなし得なかった」

「今季2023年もまだすべてのレースで競争力があったけれど、デニースと3人の子供たちとの時間を増やしたいと思っている。またViaplayのF1アナリストだけでなく、起業家として投資家としてもますます活動的になってきた。それらにも、もっと時間を割きたいんだ」

「だから、僕は自分のレース人生を誇りをもって振り返り、大きな喜びをもって将来を楽しみにしている!」

ギド・バン・デル・ガルデ(ケータハムF1チーム) 2013年F1第11戦ベルギーGP
ギド・バン・デル・ガルデ(ザウバーF1チーム) 2014年F1第13戦イタリアGP
WEC世界耐久選手権2019/2020年シーズン第2戦富士で優勝したレーシングチーム・ネーデルランド(手前からギド・バン・デル・ガルデ、フリッツ・バン・イアード、ニック・デ・フリース)
2021年はレーシングチーム・ネーデルランドのWEC・LMP2プロ・アマクラスチャンピオン獲得に貢献
ギド・バン・デル・ガルデの最後の優勝は2023年WEC第2戦ポルティマオとなった

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