新たに12人の名前、銘板に刻む 神戸・東遊園地の慰霊と復興のモニュメント 阪神・淡路大震災の犠牲者ら追悼

新たに名前が刻まれた「慰霊と復興のモニュメント」の銘板=17日午後、神戸市中央区加納町6(撮影・笠原次郎)

 阪神・淡路大震災の犠牲者らを追悼する神戸・東遊園地の「慰霊と復興のモニュメント」に17日、新たに12人の名前が刻まれた。遺族らが参列して銘板を取り付け、亡き人を悼んだ。震災は来月、発生から29年になる。

 式典で遺族らは順に地下の「瞑想空間」に入った。西宮市の佐々木美和子さん(65)は、震災で自宅の下敷きになって亡くなった義理の両親、一孝さん=当時(70)=と明子さん=同(65)=の名前を刻んだ。

 当時6歳と3歳だった孫をかわいがり、成長を楽しみにしていた2人。震災前年までに実の父母を亡くしていた美和子さんは「おおらかで優しくて。本当に頼りにしていた」と振り返る。

 銘板追加は、3年前に病気のため68歳で逝った夫、嗣郎さんが遺言として美和子さんに託したもの。「名前を刻むことができてほっとしている。夫も『良かったなあ』と喜んでいると思う」と目を細めた。

 モニュメントは2000年に完成。当初は神戸市民と市内の犠牲者が対象だったが、市外の犠牲者や震災が遠因で亡くなった人、復興や追悼行事に貢献した人らも対象とし、毎年この時期に銘板追加式典が開かれている。この日加わった12人を含め、刻まれた名前は5047人になった。 (上田勇紀)

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