阪神・淡路大震災の犠牲者らを悼む「慰霊と復興のモニュメント」(神戸市中央区)に17日、新たに12人の名前が刻まれた。震災発生からあと1カ月で29年。寒空の下で遺族らは黙とうをささげ、誓った。「あなたを忘れない」
式典には、遺族や関係者約50人が参加。地下にある「瞑想空間」で順に亡き人の銘板を取り付けた。
鶴崎光英さん(75)=大阪府枚方市=は、伯母の峰子さん=当時(83)=と、その長男でいとこの太一郎さん=同(57)=を亡くした。芦屋市の民家で下敷きになり、数日後に遺体で見つかった。
20歳まで2人と一緒に暮らした思い出が、今も胸を温める。峰子さんは子ども好きで、クリスマスや誕生日に作ってくれる洋食が絶品だった。太一郎さんはひょうきんな「お兄ちゃん」。お正月には、こまやたこ揚げで遊んでくれた。
「大変でしたね、苦しかったですね」。厳しい冷え込みの中で上着を脱ぎ、居住まいを正した光英さん。銘板に約5秒、手を合わせた後、ほっとした表情をみせた。「鎮魂の思いをバトンタッチできた」
モニュメントは2000年に完成。当初は神戸市民や市内の犠牲者の名が刻まれたが、その後、対象を拡大。今回で計5047人になった。(名倉あかり)