北九州満了のGK吉丸絢梓が挑んだ初のトライアウト「また活躍してJ1に戻れるように」

日本プロサッカー選手会(JPFA)が主催する「JPFAトライアウト」が今月12、13日に開催された。今季契約満了を言い渡されたJリーガー(元Jリーガーも含め)たちがピッチ上でスカウトたちにアピールした。

この日今季J3のギラヴァンツ北九州満了のGK吉丸絢梓(27)は13日に参加し、25分間の11対11のゲームで落ち着き払ったセービング、コーチングとベテラン顔負けの冷静なプレーを見せた。

自身初のJPFAトライアウトを終えた吉丸は「無難にプレーできたかなと思います。(チームメイトと)喋って、「こういうときはこうして」と要求することもあるしされることもありました。初対面の人多かったけど、うまくできたかなと思います」とやり切った表情で振り返った。

ゴールキーパーにとって即席チームは逆境が伴う。セットプレーでの守り方、DFラインの統率、守備の約束事などが整備されていない中で、守りを統率しなければならない。それでも吉丸は「トレセンに行くような感覚だったので、とりあえず楽しめたらいいかなって思ってきました」とミスが許されないトライアウトで強心臓ぶりを見せた。

守備の連係については「どういうつなぎ方をするとか、ラインはハイラインなのかそうじゃないのか。そういう基本的なところだけ喋って、後はこっちが合わせるようにプレーしようかなと思っていました。そういう部分だけ喋った感じですね」と吉丸。

失点をすればイメージが悪くなるGKというポジションだが、吉丸のように動じない強いメンタルが成功の秘訣なのかもしれない。

古巣の初優勝はうれしい

これまでプロデビューを果たしたヴィッセル神戸ではJ1で3試合に出場。2021年に北九州へ移籍してからはJ2で19試合、J3は45試合とコンスタントに出場機会を増やした。だが今季はリーグ戦20チーム中20位と最下位で自動降格圏に沈むも、JFLの昇格圏内にJリーグライセンス保有チームが入らなかったことで降格を免れた。きびしいシーズンを過ごした吉丸はチームから契約満了を通告された。

「難しいシーズンでしたけど…、勝点拾えそうな試合が結構多かったと思う。勝点1だった試合を3にできたり、0を1にできるような試合が多かったと思う。それができていればまた変わってたのかなと思います」と振り返った。

今季はアカデミーから過ごした神戸がJ1初制覇を達成した。吉丸もチームの動向を追っていたという。「(神戸を)気にしていました。今年ずっと上位にいて、そういうチャンスがあって、試合も見られる日は全試合観ていました。率直にうれしい気持ちがあります。頑張ってんなー(佐々木)大樹とか(山川)哲史とか。ユース上がりで試合に入れるようになってチャンスを掴んで出てましたし。頑張っているなーと思って試合を見ていました」と古巣からいい刺激を得たようだ。

北九州から契約満了が出た際、筆者は複数の神戸サポーターから「もしトライアウトに吉丸選手が出たら是非取材お願いします」と頼まれていた。神戸サポーターから未だに愛されていると吉丸に伝えると、吉丸は「そうなんですか(笑)」と照れ笑いを浮かべてサポーターに感謝していた。

サポーターに向けて吉丸は「どっちの(北九州、神戸)サポーターに対しても言うこと変わらないです。チームが決まれば自分はどこへ行ってもやることは変わらないです。また活躍してJ1に戻れるように頑張るので応援してくれたら嬉しいです」と照れ笑いを浮かべていた。

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今季は悔しい結果に終わったものの、苦しい中でも出場した試合は4試合無失点を達成した。プロで戦えることをトライアウトで証明した吉丸の新天地はどこか。守護神は吉報を待ち続けている。

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