水戸満了の新里涼がトライアウトに参加!パスやテクニックで積極アピール

日本プロサッカー選手会(JPFA)が主催する「JPFAトライアウト」が今月12、13日に開催された。今季契約満了を言い渡されたJリーガー(元Jリーガーも含め)たちがピッチ上でスカウトたちにアピールした。

今季J2水戸ホーリーホック契約満了のMF新里涼(28)は12日に参加し、25分間の11対11のゲームで華麗なテクニックや非凡なパスセンスを見せて関係者にアピールした。

この日は優れたボールコントロール技術やパスセンスを見せる局面もあり、関係者にしっかりアピールした。

自身初のトライアウト参加に新里は「すごく独特の緊張感の中でやれたので、いい経験にもなりました。自分自身全てをかけてサッカーをして、自分を見直せたと思います。すごくいい経験ができたと思います」とやり切った表情を見せた。

急きょ決まったトライアウト参加だったが、「あまり準備というところでは精神的にも心身共にはできなかった部分もあります。ただその中で自分の今できることをやろうという意識でした。こういう場があることをすごく楽しみな気持ちで来たという感じではあります」と振り返った。

2022年シーズンは主将を務めるなど、水戸では中心的な存在として活躍してきた。新里は持ち前の技術の高さを生かした華やかなプレーでチームのアクセントになってきたが、今季はリーグ戦23試合出場も先発5試合出場と出場機会が激減。今季終了後に契約満了を言い渡された。

「成長速度の速いチームですし、その中で自分が水戸に対する思いは自分が水戸昇格させたい気持ちもあった中で…。そういうところのチームとの方向性が合わなかったところは、一つ自分の中では残念だった部分でした。ただその中で結果が求められる世界なので、そこは受け入れてやっていかないといけないなと思います」と前を向いた。

試合中は左ボランチに入ってビルドアップ参加やキーパスを出すなど、攻守の舵取りを務めた。

新里は「今年は前目をやる機会が多かった。ボランチもやりましたけど、もともとそこでプロになってます。そこで勝負したいという気持ちもある中で、周りの選手とコミュニケーションを取るところを大事にしてやる中で自分らしいプレーもいくつか出せました。もちろんもっと長くやれれば良かったんですけど、そこの心身の準備も含めて前半だけでしたけど、やりきれたかなと思います。ボールを持ったときのゲームを作るところや、リズムを変えるパス。長いパス、短いパス、長いパスと、リズムを変えたりスイッチを入れるところは自分の良さだと思ってやっている。そこもいくつか出せた部分もあります。7-7も結構強度が高い中で自分も攻守に手応えはあったかなと思います」と振り返った。

即席チームでのパサーの難しさ

トライアウトは当日メンバーが発表されるため、連係プレーやパスを得意とする選手にとっては、逆境の中でプレーを強いられる。パスを武器とする新里もパスが合わないシーンなどがあった。

「難しいですね。その中できょうの1番のテーマで思ってたことは、とにかくコミュニケーションを取るっていうところでした。みんな苦しい状況で、同じ状況で集まった仲間です。すごくいいコミュニケーションを取れましたし、やっぱり共通の知り合いがいるじゃないですか。『あいつ知ってる』みたいな。そういうところですごくうまくコミュニケーションを取れてやれました。もちろん長い時間やれば自分の良さも出てくる中で、いまできる最大限のことはできたかなと思ってます」と難しい状況の中でもコミュニケーションを取って打開を図った。

その中でも横浜F・マリノスアカデミーの後輩でもある西山大雅(横浜FC満了)とは息の合ったコンビネーションを見せることもあった。「きょう同じチームでやった西山大雅選手はマリノスユースの後輩ですし、もともと面識はあった。そういう中で、コミュニケーションを取りながらやってきました。ボランチを組んだ奥村(晃司)選手に関しては、群馬の彼がお世話になってる先輩が平松宗選手で、自分が長崎にいたときにお世話になってた選手です。共通のお世話になってる先輩がいるので話しやすかったです。みんながどこの大学とか、経歴を辿りながら共通点を見つけて話すことがまたいい人間関係を作る勉強にもなったと思います」とこのトライアウトでの収穫を口にした。

トライアウトには数多くの関係者が駆け付けて、選手たちのプレーや振る舞いを事細かく視察していた。難しい中でも存在感を見せた新里はプロ、アマ問わずオファーを待っている。

「自分が大事にしていることは、自分がそこで思いを持ってやれるかということをすごく大事にしています。そこに関してもう目標・目的がはっきりしてるチームほど自分はウエルカムです。もちろんアマだったら分かりやすくJ参入だったり、そういうところを目指してるチームの熱量はすごく刺激になると思います。やりがいというか熱量という部分がすごく感じている部分ですかね。ただもちろん上を目指してまだやりたいという気持ちが高いです。そこをまた自分なりに考えられればと思います」

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ファンに向けて「昨日発表があって、すごい反響がありました。いろんな方からメッセージやInstagram、Xでコメントをいただいて。結果で自分のサッカー人生をかけて示していきたい思いは強いので。また元気な姿でピッチでプレーしてる姿を皆様にお見せすることができればなと思います」と爽やかな笑顔を浮かべて会場を去った。

長崎、水戸で活躍したプレーメーカーの新天地はどこになるのか。また華麗なプレーで観客を沸かせてほしい。

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