Google、Amazonも参戦! 過熱する「生成AI」開発争い…“ChatGPT一強”を崩すか? 専門家が解説

モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」(毎週月曜~金曜6:00~9:00)。12月14日(木)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「生成AIの覇権争い」。情報社会学が専門の城西大学 助教・塚越健司さんに解説していただきました。

※写真はイメージです

◆過熱する「生成AI」の開発争い

2023年も12月半ばということで、連日メディアで、今年のヒット商品やトレンドが紹介されています。そのなかでも、やはり「ChatGPT」「生成AI」が注目の年だったのではないでしょうか?

そして、この2週間でも、Amazonが開発したビジネスユーザー向けに設計されたChatGPT風のチャットボット「Amazon Q」や、イーロン・マスク氏が率いる「xAI」社が開発した新しいAIモデル「Grok」、Googleの新AIモデル「Gemini」など、新たな生成AIが発表されて話題になっています。

そこで本日は、最新の生成AI事情と、これからについて塚越さんに解説いただきます。

ユージ:まずは、イーロン・マスク氏率いる「xAI」社が開発した「Grok」。これは、どんなAIでしょうか?

塚越:こちらはイーロン・マスク氏がX(旧Twitter)で発表したものですが、まだ完全オープンというわけではなく、Xの有料サービスのXプレミアムプラス(月額1,960円)を利用していて、かつ長期間利用しているアメリカのユーザーから順次使えるようになるとのことです。Xのユーザー数は日本が世界第2位ということもあり、次に日本を優先するそうです。

何ができるかというと、「Grok」はチャットができるAIで、リアルタイムの情報をまとめることが特徴です。リアルタイムのテキスト情報や日本語にも対応していますので、これからが期待です。

ただ「Grok」は、ヘイト(差別的発言)や良くない情報も生成してしまう可能性が指摘されています。Xユーザーのために全振りしている生成AIということで、他社のものよりできることが限られています。

一方で、他のものより規制が緩く、そこが売りでもあるのですが、先ほど話したヘイトの部分などの懸念が残ります。

◆映像を理解してやり取りができるGoogleの「Gemini」

吉田:続いて、Google「Gemini」は、いかがでしょうか?

塚越:こちらは12月6日、Googleが満を持して発表したAIです。「マルチモーダル」という、“テキスト以外にも画像や音声、動画の内容も理解することのできるAI”というのが特徴です。

Googleが公開した「Gemini」を使った動画では、人間が描いた絵を見せると、音声で(それが何かを)答えてくれたり、色付きの毛糸を2つ見せて「これで、何か作れる?」と聞くと、その毛糸を使って作れるぬいぐるみの完成形を画像付きで表示してくれたりする機能もあります。他にも、楽器の絵を描くと、(その楽器の音色で)音楽を作ってくれる機能もあります。すごいですよね!

ユージ:映像を理解するAIですね?

塚越:そうです。全部理解できます。ただ、その動画は、リアルタイムでAIとやりとりするものではなく、編集を加えたものでした。実際に使うと、もっと時間がかかるかもしれないと、批判されています。

ユージ:コンセプトムービー的な感じですね。

塚越:(そのような反応を受け、Google的には)「少し盛ってしまったかな?」と焦るところもあるのでしょうね。実装するには、もう少し時間がかかるとのことです。

ただ、私の印象としては「ChatGPT」の有料版でも同様のことが若干できるので、ものすごいインパクトがあるかというと、そうでもない気もします。とはいえ、Googleが本腰を入れて参戦してきたのは事実なので、誰でも簡単に利用できるという意味では、かなり注目だと思います。

◆ビジネスに特化した「Amazon Q」

ユージ:「Amazon Q」は、どうでしょうか?

塚越:「Amazon Q」は、ビジネスに全振りしたAIです。対象がプログラマーやIT管理者、ビジネスアナリストといった人たちで、Amazonが運営する「AWS」というクラウドサービスで利用できる“玄人向け”のサービスです。開発者がプログラムコードを書くのを手伝ってくれたり、ビジネスレポートを作成することができたりと、ビジネスパーソンに向けたものです。

また、セキュリティ面も万全になっています。生成AIの分野では遅れていると言われていたのですが、独自でシステムを開発したり、同じように生成AIを開発する会社に投資したりと追い上げをみせています。

ユージ:これからの生成AI市場、どこが覇権を握るでしょうか?

塚越:まだ難しいところです。「ChatGPT」が1、2歩リードしている感じがしますよね。とはいえ、みなさんが利用しているかと聞くと、全然周りにはいないですよね。そう考えると、みんなが使うようになるという意味では、私は無料で使えるGoogleに注目してほしいと思います。

吉田明世、塚越健司さん、ユージ

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12月14日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)聴取期限 2023年12月22日(金) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月曜~金曜6:00~9:00
パーソナリティ:ユージ、吉田明世
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/one/

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