無所属参加の高木利弥、カンボジアでの契約解除を経て臨んだトライアウト

日本プロサッカー選手会(JPFA)が主催する「JPFAトライアウト」が今月12、13日に開催された。今季契約満了を言い渡されたJリーガー(元Jリーガーも含め)たちがピッチ上でスカウトたちにアピールした。

カンボジア1部ティフィー・アーミーを半年で契約解除されたDF高木利弥(31)は13日に参加し、25分間の11対11のゲームで高精度の左足ロングフィードを見せてまだまだ健在であることを知らしめた。

トライアウトを終えた高木は「体の状態はそこまでいいっていう感じじゃなかったんですけど。まだこういう機会もなかなかなかったですし、楽しかったですね」と充実の表情を見せた。

この日は左サイドバックで入り、攻守で存在感を見せた。時折見せる左足のキックは正確かつ鋭い弾道で味方の足下、危険なスペースにピンポイントで落とすなど際立ったプレーも垣間見えた。

高木は「左足のキックだったりとかっていうところは持ち味でもあったので、多かれ少なかれ出せたかなと思っています」と胸を張った。過去にモンテディオ山形、柏レイソル、松本山雅とJ1でプレーした実力者は、このトライアウトで異彩を放つプレーを見せていた。

カンボジアでの契約解除

今年7月1日にカンボジア1部ティフィー・アーミーへ加入した高木だったが、11月中に契約を解除されたと自身のYouTubeチャンネルで明かした。

「日本と違って、また契約事がある意味しっかり固定されていないことがある。その洗礼をしっかり受けたということで、いい経験ができたと思ってます」と明るく振り返るも、なかなか帰国することができなかったりと苦労は絶えなかったという。

トライアウト3日前帰国したという高木はぶっつけ本番でこのトライアウトに参加した。「ちょっと状況的には簡単ではなかったですけど。状況的にもやるしかなかったんで頑張りました」と少し疲れた表情も伺えた。

それでも久しぶりのサッカーは楽しめたようで、ピッチ上では時折少年のような表情でボールを追いかける一面もあった。

「なかなかカンボジアにいてもサッカーできる環境はなかった。実戦っていうのは本当にぶっつけ本番みたいな形だったので頑張りました」と笑顔で胸を張った。

大学の同期で柏でもともにプレーした伊東純也とは公私ともに仲が良く、先日自身のYouTubeチャンネルにも出演した。X(旧Twitter)では「高木くん契約解除になって可哀想なのでチャンネル登録してあげてください」といじられる一幕もあった。

高木は「(伊東とは)またいずれか会うタイミングがあるので、いい報告ができればいいなと思っていますね」と親友との再会を楽しみにしているようだった。

高木のトライアウト参加に数多くのファンがエールを送っている。「海外にも行ってましたし、『高木なにしてんだおい』みたいなところはあると思う。しっかりまた日本でプレーできる機会があればプレーして、また元気で頑張っているぞというところを見せられればいいなと思っています」と日本復帰に意欲を燃やした。

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これまで山形、千葉、柏で左サイドバックで躍動したレフティーモンスターは、来シーズンどこでプレーするのか。大砲のような左足でゴールネットを揺らす日をまた目に焼き付けたい。

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