児童に「生きる価値なし」、プールに放り投げる…城陽小暴言・体罰問題 男児2人が姫路市に計2千万円求め提訴

城陽小学校=姫路市北条

 兵庫県姫路市立城陽小学校の特別支援学級で2021年に発覚した男性教諭による暴言・体罰問題で、被害に遭った児童6人のうち、小学6年の男児2人が18日、姫路市に計2千万円の損害賠償を求める訴訟を神戸地裁姫路支部に起こした。2人は暴言や体罰を繰り返し受け、「心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症した」と訴えている。

 訴状によると、男児2人は18~21年度、特別支援学級の担任だった男性教諭(41)=懲戒免職=から、1人は腕をつかまれて振り回されたり、「お前は生きる価値なし」などの暴言を受けたりした。もう一人の男児は水が苦手なのにプールの中に放り投げられたり、「自閉のお前に何と言えば直せるんや」などと暴言を浴びせられたりした。

 男児2人はPTSDを発症し、1人は今も睡眠障害や自傷行為などの症状がある。もう一人は急に泣き出したり、音に過敏になったりする状態が続いているという。訴状では、学校側が元教諭の暴言や体罰に対策を取らず、放置したと主張している。

 提訴後、男児2人の父親と代理人弁護士が市内で会見し、1人の父親は「後遺症に苦しむ子どもの現状を知ってほしい。(学校側の)保身や事なかれ主義が生んだ結果だ」と訴えた。姫路市教育委員会の西田耕太郎教育長は「内容を精査して真摯に対応をしていく」とコメントを出した。

【姫路市立城陽小学校の暴言・体罰問題】特別支援学級の担任だった元教諭が2018年度以降、児童6人に「生きる価値がない」などと発言したり、身体を強く揺さぶったり押さえ込んだりしたとされる。学級を補助していた女性支援員が口頭で少なくとも7回管理職に訴えていた。21年6月、女性職員が加害行為を記録したメモを提出して発覚。県教委は暴言や暴行を34件認定し、元教諭を懲戒免職処分とした。同年12月、市教委の検証委員会が管理職の認識の甘さなどを指摘した意見書をまとめた。

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