青森県五戸町の菓子店「三福商店」(三浦雅一社長)が12月と来年1月、米国ニューヨークとロサンゼルスにロールケーキ計2200個を輸出する。原料の牛乳を店に納入し、米国4都市にヨーグルトを輸出している新郷村ふるさと活性化公社が仲立ちした。同店は「五戸のおいしさを海外の人へ」と製造に励んでいる。
米国輸出は、神戸の貿易会社が11月28日、新郷村公社に「三福のロールケーキ1200本をロサンゼルス向けに、12月14日までに納品してほしい」と連絡したことから始まった。
公社はヨーグルト輸出に関して米国の検疫機関からお墨付きをもらっている。「公社の牛乳を使ったお菓子は米国に輸出しやすいはず」(角岸秀伸・公社事務局長)と考えて、貿易会社に三福のロールケーキなどを公社独自で売り込んでいた。それが実を結んだ。
三福の「生ロールケーキ」(長さ16.8センチ、税別850円)は人気商品。米国向けは長さ12センチの商品を求められた。納品日まで時間的な余裕がなく、社員一丸で製造して急速冷凍し、間に合わせた。
12月に入ると、新たにニューヨーク向けに「1月11日までに千本を納品してほしい」と注文があり、その後、さらに千本の追加が入った。年末年始にぶつかるために追加分は断った。
米国向け商品の名前は英語表記で「KAORITATU GYUNYU ROLLCAKE(かおりたつ ぎゅうにゅう ロールケーキ)」。貿易会社が公社の人気商品「間木ノ平の薫(かお)りたつ牛乳」の名前を借用した。角岸事務局長は「公社のヨーグルトはニューヨーク、ロサンゼルス、シアトル、ホノルルの米国4都市に輸出している。そのルートを生かし、新郷の牛乳を使っているロールケーキが、米国の2大都市に輸出されるのはとても喜ばしい」と話す。
三浦社長は「一度に千本、2千本の注文を受けて作るのは初めて。しかも輸出なのでさらに驚いた。4代目(息子の司樹=かずき=さん)が昨年5月に京都での修業を終えて、店に戻ってきていたので大量注文にも対応できた」と語り、司樹さんは「大量なので不安はあったが、社員一丸で取り組んだ。これを機に、五戸のケーキのおいしさを海外の人たちに届けていきたい」と話している。