「このまま冬眠して」 クマ警戒、車で児童登校 人身被害の鶴来地区

クマを警戒して保護者の車で登校する児童=18日午前7時45分、白山市広陽小前

 16日に男女3人がクマに襲われ重軽傷を負う被害が出た白山市鶴来地域で週明けの18日朝、現場近くの小中学校に通う児童生徒が警戒態勢の中で登校した。広陽小では子どもを送り届ける保護者の車が列をつくり、通学路には見守り隊や教員が立ち、ピリピリした雰囲気が漂った。住民からは「このまま冬眠してほしい」との声が聞かれた。

 広陽小周辺では午前7時半ごろから子どもを乗せた車が見られ、同8時には20台ほどの列をなした。翫(いとう)美保校長によると、普段から遠方の児童は車での送迎を認めているが、この日は普段より多いという。

 普段は3人の子どもを徒歩で通わせているという男性会社員(44)は「この週末は子どもに外で遊ばないように言った。クマは寒さに弱いと思うので、このまま冬眠してほしい」と話した。

 地域住民でつくる白山市子ども見守り隊も警戒を強めた。隊員の坂田実さん(76)は、徒歩で通う1年生に寄り添って校門まで見送った。児童のランドセルにはクマよけの鈴が付けられており、坂田さんは「まだ別のクマが近くにいる可能性がある。子どもの安全を守りたい」と語った。

 同校は22日に終業式を控えており、翫校長は「児童に被害が出ないよう、地域の協力を得ながら気をつけていきたい」と話した。

  ●出没時の注意強化を

 白山市議会産業建設常任委員会は18日開かれ、各市議からクマ出没時の対応について「住民には『家の中から絶対に出ないで』と強く要請してほしい」「もっと危機意識を持たせる広報が必要だ」との声が上がった。

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