元TOKIO山口達也さん(51)が語ったアルコール依存症の苦しみ 「2年間飲まなかったのに 一気に1.5リットル飲んでバイクにまたがった」

人気アイドルグループ「TOKIO」の元メンバー、山口達也さん(51)が16日、名古屋でアルコール依存症に苦しんだ自身の経験を語る講演会を開きました。

16日、名古屋市中村区にある寺で行われたアルコール依存症に関する講演会。講師は人気アイドルグループ「TOKIO」の元メンバー、山口達也さんです。

(山口達也さん)
「お酒を飲んでも良いんですよ、世の中的にも、法律的にも、でも本当に助けてくださいって思った」

山口さんはアルコール依存症に苦しみ、現在も治療を続けています。およそ80人の参加者を前に、大好きだったお酒の量が次第に増えても、飲み方や体調の異変に気付かなかったと振り返りました。そして…。

(山口達也さん)
「何でもお酒が解決してくれるみたいな。やっぱおかしかったですよね。こうやって私は2018年に罪を犯して芸能界を去る」

2018年に起こした事件を機に、順風満帆だったはずの芸能界を去った山口さん。お酒を我慢していましたが、2年後のある日。

(山口達也さん)
「(酒を)一口飲んでしまったら、私の体は渇望現象が始まってしまって、お酒を止めることができなかった。2年間何にも飲まなかったのに、一気に1.5リットル飲んで、私はさらにバイクをまたがってしまうんですよね」

すべての始まりは「不安」だった

2020年には飲酒後にバイクで事故を起こし、依存症の専門病院に入院。そこでようやく自分が「アルコール依存症」だと受け入れることができたといいます。そして、自分を見つめ直す中で気付いたのが。

(山口達也さん)
「自分の棚卸しをするんです、自分を知るために。そこで一つ分かったのが何か、すべての始まりは『不安』だった」

「あの人の方が歌が上手いんじゃないか、カッコイイんじゃないか、話が面白いんじゃないか、他人と比べていたんですね」

知らず知らず飲酒へと走らせた「不安」。誰もが抱える「不安」とどう向き合うか、山口さんは参加者にこう問いかけました。

(山口達也さん)
「変えられないもの、変えるもの。すごく大事な話。変えられないものは何かわかります?過去と他人は変えられない。逆で考えてみてください。自分と未来しかないんです。きょうの自分、今の自分を褒めてあげるっていうので本当に生きやすくなってくる」

山口さんはことし3月、自身の経験を役立ててもらおうと会社を立ち上げ、アルコール依存症を抱える人たちなどをサポートする活動を行っています。講演会の狙いについて主催者側の寺の住職は。

(称名寺 杉浦道雄住職)
「失敗とかそういうことよりも、そっからどうやって再スタートしてるかっていうことがすごく大事になってくると思うので、山口さんがどういう形でもう1歩歩み出そうとしてるのかっていうのは、私たちの力になると」

山口さんは誰もが依存症になりうると強く訴え、悩みがあっても一人で抱え込まず、助けを求めて欲しいとメッセージを送っていました。

「悪くなることはあっても良くなることはない」と言われている病気

(参加者)
「『今を生きる』っていうのが、今自分の中のなんかテーマだなって、すごく話を聞きながら感動してました」

(参加者)
「山口さんの話を聞いて(アルコール依存症が)こういう病気なんだなとよくわかったし、それを乗り越えようとしているすごい精神力の強さを感じる講演だった」

(山口達也さん)
「アルコール依存症は悪くなることはあっても良くなることはないといわれている病気なんですよ。この病気を克服する方法はただ1つ。『私は一生お酒を一口も飲まない』と。芸能界を離れた5年っていうのを、何を考えて何をしてきたのか。自分が芸能界にいた時とか全て、過去が全部自分を作ってるんで、それをちゃんと皆さんに伝えたいな、自分の口で」

山口さんはアルコール依存症と闘いながら、今後も経験から得た学びを全国各地で伝えていくということです。

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