●来年度
●コロナやインフル窓口
金大が来年度の組織改正で、新たに感染症の講座を開設することが18日までに分かった。新型コロナウイルスの流行を経て臨床専門医の確保が急務と判断し、専任教授を配置して人材の育成を進める。併せて、附属病院に診療科を設け、新型コロナやインフルエンザなど感染症治療の対応窓口とする方針である。
「感染症科学・臨床検査医学研究講座」の名称で、医薬保健研究域医学系に設ける。
金大は新型コロナ感染拡大後の2021年から開設に向けた検討を重ね、昨年には教授の選考委員会を設置。既に公募を終え、今後、選考委での人選や教授会の意向投票などを経て和田隆志学長が最終決定する流れとなる。
選考委の杉山和久委員長(医学系長)は「感染症の専門家は全国でも引く手あまたの状態だが、公募では優秀な人材が集まった。来年度の早い段階で開講したい」と話した。
附属病院に設ける「感染症科」は、他の診療科と連携して横断的に治療に当たる。国際感染症制御学講座と共同で、未知の感染症への対応も担う。
金大には感染症の基礎研究を行う「国際感染症制御学講座」があるが、感染症の臨床専門医を育成する講座はなかった。石川県新型コロナウイルス感染症対策専門家会議座長を務める副病院長の谷内江昭宏氏の専門は小児科となっている。
同病院の蒲田敏文病院長は新講座と診療科の開設について「コロナ禍では関連病院からの医師の派遣要請に応えることができず、専門医の必要性を痛感した。北陸の感染症治療の拠点を目指したい」と語った。
★金大と感染症対策の歴史 金大の源流をたどると、感染症の一種である天然痘の予防接種を行うため加賀藩が1862(文久2)年に設立した「彦三種痘所」がルーツとなっている。北陸近代医学の祖とされる蘭学医、黒川良安(まさやす)らが設立に参画し、猛威を振るう天然痘から領民の命を救った。