再入場に「顔認証」活用、競馬場の混雑緩和へ 貨幣処理機大手グローリーが競馬場で実証実験

顔の画像データの登録や認証をする専用端末。5秒ほどで登録ができるという=京都競馬場(グローリー提供)

 自分の顔が入場チケットの半券になる-。そんなシステムの実用化に向け、貨幣処理機大手のグローリー(兵庫県姫路市下手野1)が、顔認証技術を活用した新たな仕組みの実証実験を東京と京都の競馬場で行った。専用端末に顔を近づけるだけで指定席エリアに再入場できる仕組みで、混雑緩和につながるなどの効果を確認した。同社は来年3月の製品化を目指すという。(田中宏樹)

 同社は2003年に顔認証技術を実用化。カメラに映った顔の特徴で個人を識別できる。ホテルなどが重要顧客の来訪を検知して上質なサービスの提供につなげたり、病院が見守りの必要な患者が院外に出るのを防ぐシステムとして活用したりしている。

 今回の仕組みでは、競馬場の指定席エリアのチケット購入者が、入場時に専用端末で顔写真を撮影して画像データを登録。自身の顔がチケットの半券の役割を果たし、端末に顔をかざすだけで入退場が可能となる。競馬場スタッフがQRチケットを端末で読み取る手間を省いた。

 実証実験は11月に計8日間、東京競馬場(東京都府中市)と京都競馬場(京都市)で実施。端末は個人の顔を1秒ほどで認証でき、ピーク時には5台が1分間で計約100人を読み取り、利用者のスムーズな再入場につなげた。

 利用者はQRチケットを入退場のたびに取り出す必要がなくなり、実験後のアンケートでは「売店で買い物をし、両手がふさがっていても簡単に入場できた」などの声が寄せられた。

 指定席エリアのあるスポーツ会場での活用も想定できるといい、同社担当者は「今後、需要が高まってくる分野と考えている。さらなる改良を重ね、来年3月の製品化を目指したい」と話した。

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