将棋の藤井八冠も受けた「モンテッソーリ教育」 小さな机、箱形のいす… 子ども目線の家具で“整う”成長

本部明子さんが開発した小さな机や箱形のいす、棚、ポールハンガー=宝塚市川面5(撮影・吉田敦史)

 兵庫県宝塚市などで幼児教室を主宰する本部明子さん(44)=同県伊丹市=が、子ども用家具のブランド「Motto(モット)」を立ち上げた。「子どもの育ちは環境や整理整頓に左右される」との考えで、小さな机やいす、低い棚を開発。簡素な見た目ながら、工夫とこだわりが詰まっている。(吉田敦史)

 将棋の藤井聡太八冠が幼少期に受けた「モンテッソーリ教育」を家庭に取り入れ、子どもの自主性を育む一助にしてもらおうと2022年2月に家具の販売を開始。同教育はアマゾン・コム創業者のジェフ・ベゾス氏、米IT大手メタ(旧フェイスブック)最高経営責任者(CEO)のマーク・ザッカーバーグ氏ら世界で活躍するリーダーも受けており、関心が高まっている。

 本部さんは学生時代、教育実習先の幼稚園でモンテッソーリ教育に出合い、その幼稚園に就職して5年間勤務。結婚や出産でしばらく教育現場を離れたが、12年に幼児教室を開き、これまでに400組以上の親子をサポートしてきた。整理収納アドバイザー1級の資格も取り、子育てに特化した助言を続けている。

 本部さんによると、子どもたちは必要な活動を自身で選び、集中して繰り返し、満足してやめるという過程を経て、心が安定し、さらに積極的になるという。そのためには整理整頓された環境が重要といい、子どもが自ら片付けをしながら主体的に活動できる家具を開発しようと考えた。

 幅約50センチ、高さ約34センチの小さな机は、子どもが自分で持ち運ぶことができ、居間や台所など好きな場所で学びや遊びができる。箱形のいすは背もたれがなく、子どもが大きくなったら踏み台にもでき、ひっくり返して物を入れる箱としても長く使える。高さ76センチで2段に仕切られた棚は、幼いうちはおもちゃや絵本を並べ、成長すればランドセルや学用品を置ける。いずれもパイン材に天然植物油脂性塗料を塗って仕上げられており、滑らかな手触りが心を落ち着かせる。

 3人の息子がいる本部さんはもともと片付けが苦手で、長男と次男の幼少期は散らかった部屋で育てていたという。三男が生まれてマンションが手狭になったことで、思い切って物を捨てた。結果、片付いた環境で育った三男は、自然と整理整頓好きになった。本部さんは「子どもがやりたいことをすぐに見つけられる環境を、大人が整えてあげて」と呼びかける。

 家具は、本部さんが設立した合同会社「Kodomomesen(こどもめせん)」の販売サイトから購入できる。

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