長崎県で梅毒急増 過去最多、検査体制を強化 感染者数多い3保健所、夜間の検査も実施

長崎県内の梅毒報告件数(2013~23年)

 性感染症の梅毒の感染者数が長崎県内で過去最多を更新し続けていることを受け、県は18日、早期発見、治療につなげようと、感染者が多い地域の保健所で新たに夜間検査を始めると発表した。県によると、県内の感染者数は138人(10日時点)。現在の調査方法になって最多だった2022年同時期の約3倍に上る。
 保健所管内別の最多は佐世保市で、長崎市、県央を合わせた3保健所で約9割を占める。年代別は男女とも20代が最多。10~40代の割合が男性は83%、女性は87%に上る。
 全国的に感染は増加傾向で11月中旬に過去最多だった22年の総数を上回った。国立感染症研究所の統計によると、23年第3四半期の人口当たりの感染者は都道府県別で多い順に東京、福岡、大阪と続き、本県は11番目だった。
 検査、治療は内科や泌尿器科、婦人科ででき、県内全10カ所の保健所では無料検査を受けられる。長崎市を除く9カ所は匿名で実施。感染者が多い長崎市、佐世保市、県央の3保健所は今週から週1回、夜間にも検査する。事前の予約が必要で長崎、佐世保両市は電話、県央は県のホームページで受け付けている。
 梅毒は「梅毒トレポネーマ」という細菌に感染して発症する。潜伏期間は3~6週間で性器や口などの感染部位にしこりができ、全身に発疹が広がるほか、発熱や倦怠(けんたい)感などさまざまな症状が出る。無症状の場合もあり、放置すると重症化する。感染経路は性交渉やキスなど皮膚や粘膜の接触。正しくコンドームを使えば予防効果があり、抗菌薬を使った治療で完治できるという。
 妊婦が梅毒になると一定の割合で胎児が先天梅毒になる。早産や死産となったり、障害が残ったりする。県内では10日時点で妊婦7人が感染。早期の発見、治療で胎児に影響を与える可能性は低くなる。
 県の担当者は「SNS(交流サイト)などを使って啓発も進めていきたい。気になる人は早めに相談や検査をしてほしい。治っても再感染するので、パートナーも一緒に検査した方がいい」と話す。

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