自宅にこもりがちな高齢者の交流の場をつくろうと、京都市南区の城興寺が、食事やヨガを楽しむ「シニア食堂」に乗りだした。寺が地域社会の居場所の一つとなって、高齢者が孤立するのを防ごうとしている。
企画したのは、住職の上原慎勢さん(63)。同寺が月に1回開く「子ども食堂」に地域の高齢者が来るようになり、ならば高齢者だけで気兼ねなく過ごせる場を提供しようとシニア食堂を10月にスタートさせた。
11月15日、2回目のシニア食堂が開かれた。午前11時半ごろから近くの70歳以上の住民たちが続々と集まり、住職やスタッフが「ようこそ、お変わりないですか」と笑顔で迎え入れた。
参加者は14人を数え、椅子に座ったままできるヨガを体験した。上原さんの知人である講師の手ほどきを受けながら、30分かけて体をほぐした。その後、寺が用意した弁当を一緒に味わいながら、あちらこちらで会話を弾ませていた。
近くの細川益実さん(89)は「こういう場があると家から出ようという気になるし、近所の人とコミュニケーションも取れる」と喜んでいた。
シニア食堂の目的は、もう一つある。上原さんは地域の民生児童委員として高齢者の見守り活動をしている。このようなイベントを企画し案内チラシを手渡すことを通じて、自宅にこもりがちな高齢者との会話のきっかけにしたいと考えている。
上原さんは「困りごとなどの声を聞くことで、お寺が皆さんの居場所になれば」と願っている。