北陸新幹線、謎の異音 トンネルで「ドン」緊急停止 JR西、今年4件目

富山駅に入る北陸新幹線。異音による運行遅れが相次いでいる

  ●小動物や鳥が接触?落雷?

 19日午前9時21分ごろ、北陸新幹線黒部宇奈月温泉駅―富山駅間を走行中の「かがやき503号」で運転士が異音を聞いた。点検のため運転を一時見合わせ、最大47分の遅れが生じた。北陸新幹線のJR西日本管内では異音による運行の遅延が今年に入り計4件目となり、前年の2件を上回った。同社や専門家は小動物や鳥が接触した可能性や落雪などさまざまな可能性があるとし、原因は判然としない。

 19日に異音が発生したのは、魚津桃山運動公園(魚津市)近くのトンネル内を走行中だった。運転士は、何かにぶつかったような「ドン」という音を聞き、緊急停止した。約40分間停車し、午前10時に運転を再開、富山駅には43分遅れの午前10時11分に到着した。

 現場の点検では、車両の傷やへこみ、付近に動物の死がいなどは確認されなかったという。この影響で上越妙高駅―富山駅間で新幹線の運転を一時見合わせ、上下線計3本に最大47分の遅れが生じ、約1500人に影響した。

 緊急停止した列車の次の便で東京から富山に訪れた30代会社員男性は「本来止まらない駅で新幹線が止まったので、どうしたのかと思っていた」と首をかしげた。

 JR西金沢支社によると、管内の北陸新幹線では今年、4月23日、7月1日、同7日にも異音を感知して停車し、運行が遅れた。このうち、今回の事案も含めれば3件が富山―黒部宇奈月温泉間で発生している。

 JR西の担当者は、想定される原因として、小動物や鳥との接触や、線路に石などが乗っていた場合などを挙げる。ただ、痕跡などが見つからないケースもあり、7月の2件は安全上問題はないと判断し、原因不明のまま調査を終了している。

 発表した4件以外にも、異音で一時停車する事案はあり、遅れが20分未満の場合は公表せず、発生件数も集計していない。異音による運行遅れについてJR西は「どんなに些細な異常でも、点検で確認してから再開することが必要。安全運行に必要な措置だ」と理解を求めた。

 金沢工大の永瀬和彦客員教授(鉄道システム工学)は、冬場には雪による異音が発生する場合もあると指摘する。新幹線は雪の多い山沿いを走ることが多く、落雪や、踏み固められた残雪が線路上に落ちることがあるという。「北陸新幹線は砕石を使った区間が非常に少ないので、線路上に石があることは考えにくい」と指摘した。

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