ピザハット、ナポリの窯…福井に大手ピザチェーンの波 迎え撃つ地元テキサスハンズの対抗策は

大津屋がコンビニ店内併設型店舗として開店した福井県内初のピザハット=福井県福井市高木中央2丁目
本場イタリアの味で勝負するハニー木村グループのナポリの窯=福井県福井市若杉4丁目
抜群の知名度を生かして全国チェーンに対抗するテキサスハンズ=福井県福井市田原1丁目

 福井県福井市内では今年に入り、大手宅配ピザチェーンの2ブランドが相次ぎ進出した。ともに県内小売店が本業との相乗効果を狙い、フランチャイズ契約を結ぶ。一方、福井で創業し35年の地元チェーンは、長年の実績を盾に対抗。クリスマスの繁忙期を前に、顧客の獲得と囲い込みにしのぎを削っている。

■相乗効果手応え

 宅配ピザ業界はドミノピザ、ピザハット、ピザーラが“御三家”とされ、全国で多く出店している。コンビニなど展開の大津屋(福井市)は8月にグループ会社を通じ、ピザハットの県内1号店をオレンジボックス高木中央店(同市高木中央2丁目)にオープンした。

 狙いは、ピザのお供に総菜、飲料を“ついで買い”してもらうことだ。ピザハットのオープン後、高木中央店の客数は前年比10%近く増えているといい、特に夕方がにぎわっているという。大津屋の担当者は「高木中央店は売り上げ、客数とも増加分が他店を上回っている」と手応えを語る。

⇒「ピザハット」福井県内1号店がオープン

 ピザハットは拡大戦略をとり、2025年度末までに全国1千店を目指す。福井は46都道府県目の進出で、大津屋の「オレボ」ブランドを生かして浸透を図る。

 県内ではこのほか、最大手のドミノピザが16年に初進出。福井未進出のピザーラは、全国を巡回するキャラバンカーで、JA福井県とコラボしたキャンペーンを実施した。

■本場の味で差別化

 一方、「御三家とは一線を画し、中身で勝負する」と意気込むのは、ハニー食彩館を運営する木村グループ(福井市)の木村博常社長。グループ会社の運営で12月13日、食彩館やしろ店の敷地内に業界4位のブランド、ナポリの窯をオープンした。

 木村グループも、ピザが焼き上がるまでの間に本業のスーパーでの「ついで買い」需要を取り込みたい考えだ。木村社長は「多くの宅配ピザはアメリカ風。本場イタリア風の味で差別化できる」と、ナポリの窯を選んだ理由を説明する。

■「半額」浸透

 創業35年の地場ピザチェーン、テキサスハンズ(福井市)の加藤樹生社長は「味で勝負し、大手の進出を防いできた実績と県内での知名度はどこにも負けない」と力を込める。「ピザは焼きたてが一番おいしい。その場で味わえるイートインが充実しているのも強み」と話す。

 「テイクアウト、イートイン半額」は20年以上続くサービスで、車社会の福井にマッチ。全国で主流の宅配を頼む客はごく少数という。「半額という言葉のインパクトは大きい」と加藤社長。県内に強固な地盤を築く同社だが、業界大手の相次ぐ県内進出に警戒感は強い。「新型コロナウイルス禍の巣ごもり需要で業界全体が盛り上がり、その勢いで空白地域を埋めにきている」と分析。県内で知名度を武器に既存店の売り上げを守りつつ、県外進出で反転攻勢をかける考えだ。

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