低所得世帯への7万円給付、年内開始は4町のみ 青森県内 全市町村「準備期間短い」

 岸田文雄首相が年内実施を公言した低所得世帯向けの7万円給付について、青森県内で年内に支給開始できる見通しなのは板柳や三戸など4町にとどまることが、19日までの全40市町村への東奥日報の取材で分かった。財源を盛った国の補正予算成立が11月下旬で、制度詳細の連絡がそれ以降だったため、大半の自治体が「準備期間が短い」と指摘。住民のために対応を急ぎつつも、国に対し、迅速な情報提供や実務を担う市町村に配慮したスケジュール設計を求める声が上がった。

 給付事業は、所得税と住民税が非課税の世帯が対象。給付開始時期の見通しについて、「2024年1月」が青森や八戸など24市町村、「24年2月」が弘前、三沢など11市町村。具体の開始日は調整中で、決まっていない自治体が多い。田子町は「未定」とした。

 準備期間については、全40市町村が「短い」「どちらかと言えば短い」と回答した。

 五所川原市は、国からの事務連絡が11月2日付、同10日付、同29日付とさみだれで届いたことを挙げ「基準日など制度詳細を示す連絡は29日付。岸田首相が年内給付開始を表明した10月26日にこれが届いていれば、年内給付の実現性が高まった」と指摘した。同様に、首相発言や報道が先行し、実際の通知が遅いとする自治体が多かった。

 各自治体はシステム改修、対象世帯の抽出などを急いでいるが、特に発送物の準備に時間が取られるとの声が目立った。12月は印刷会社も多忙なためで、「封筒をつくるにも印刷会社から『2~3週間かかる』とされた」(野辺地町)との声もあった。

 八戸市は「迅速な給付に向け尽力しているが、二重給付など誤給付がないよう十分な留意が必要で、確認作業にも多大な時間を要している」と強調した。

 政府は今年3月に住民税非課税世帯に3万円給付する対策を示し、その支給事務を終えたばかりという自治体も。少なくとも13市町村が、3万円給付世帯の同口座へ振り込む「プッシュ型」とすることで迅速な支給を目指すとした。

 一方で、政府が次々と対策を打ち出していることから「初めから10万円給付にできなかったのか」「7万円追加給付はあらかじめ見据えたものだったのか。制度設計をしっかりしてほしい」との声も聞かれた。

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