事件直後に袴田さんが着ていたパジャマが法廷に 検察「犯人だと裏付ける根拠」を挙げる 弁護団「信用できない」と主張【袴田事件再審第5回公判・速報】

1966年、静岡県旧清水市(現静岡市清水区)で一家4人が殺害されたいわゆる「袴田事件」で死刑が確定している袴田巖さん(87)の再審=やり直し裁判の5回目の公判が12月20日、静岡地方裁判所で開かれ、検察は、袴田さんが犯人であることを裏付ける根拠について主張を展開しました。

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検察は、4項目の根拠を挙げました。
①袴田さんは被害者から借金があり、金の余裕がなく金品を目的とした犯行に及ぶ動機があったこと
②事件の凶器とされる「くり小刀」と同じものを販売していた刃物店の店員の「袴田さんを見た」という証言があること
③袴田さんの左手中指には鋭利なもので切ったとみられる傷があり、犯行時に抵抗された際のけがであること
④袴田さんのパジャマから、犯人が放火する際に使ったとされる混合油と複数の血液型の血痕が検出されていて、犯行後に着替えたものであること。また、付着する血痕からは、袴田さんの血液型(B型)以外も検出されていて、鑑定結果にも示されていること、などを主張しました。

検察は、これまでに「犯人がみそ工場関係者であり、袴田さんは犯人の行動をとることができたこと」「5点の衣類が袴田さんの犯行着衣であること」を主張しています。この2つの立証だけで、十分に犯人性を裏付けているが、これ以外の根拠が20日に挙げた4項目だとしました。

一方、弁護団は、検察が根拠とした4項目の反論に加え、袴田さんのアリバイについて証言があると主張しました。

弁護団が挙げたのは合わせて5項目で、それぞれ反論を始めました。
①袴田さんの左手中指の傷は、消火活動中に負ったものであること
②パジャマについての検察側の鑑定結果は、信用できないこと
③刃物店の店員の証言は、捜査機関により歪められ悪用されたものであること
④売上げ金の所在を袴田さんが知っているのは、犯人性を裏付けるとは言えないこと
⑤袴田さんに「アリバイがある」と証言する人がいること

この反論の中では、袴田さんのパジャマが証拠として法廷で公開されました。袴田さんの姉・ひで子さん(90)も間近でパジャマを確認しました。

検察が主張する血痕については、肉眼で確認できないほどの微量で、血液型を判定する鑑定はできないはずだとして、検察の鑑定結果を「信用できない」としました。

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