「入札を骨抜きにした」と検察 京都・宇治田原町の元理事公判結審

京都地裁

 公共工事の入札情報を漏らした見返りに現金を受け取ったとして、加重収賄と官製談合防止法違反などの罪に問われた京都府宇治田原町の元理事(61)の論告求刑公判が20日、京都地裁(増田啓祐裁判長)であり、検察側は懲役1年、追徴金10万円を求刑。弁護側は執行猶予付き判決を求め、結審した。判決は来年2月8日。

 起訴状によると、2020年9月に宇治田原町が発注した公園造成工事の一般競争入札を巡り、同8月中旬ごろ~9月3日、木津川市の土木工事会社の男性役員(54)に設計金額を漏らして落札させた上、返礼として現金10万円を受け取ったなどとしている。

 検察側は論告で、元理事の被告が当時、町建設事業担当理事を務めていたことを挙げ、「入札を適正に行う職務を負っていたにもかかわらず、秘密性が極めて高い情報を漏らし、入札を骨抜きにした。行政への信頼を裏切った」と指摘した。

 弁護側は、被告自ら業者に金銭を要求したことはなかったとし、「私利私欲を目的とした犯行ではない」などと訴えた。

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