存続求め 有志ら署名提出/棟方志功記念館

小野理事長(左)に署名簿を手渡す中村会長代理=20日午後、青森市の棟方志功記念館

 施設の老朽化などを理由に来年3月末で閉館する青森市の棟方志功記念館の存続を求める市民有志「棟方志功記念館存続署名の会」は20日、同記念館を運営する一般財団法人の小野次郎理事長に1万8932筆の署名簿を手渡した。小野理事長は「熱意は受け止める」としながらも、「閉館は(理事会で)決まっていること」と従来の方針を強調。県と市が建物と日本庭園を残す形で利活用を検討していることについては、「(財団も含めた)3者で協議していく」と述べた。

 署名活動は、記念館の閉館を憂う市民有志が5月からスタート。インターネットのほか、ねぶた名人の千葉作龍さんが先頭に立って署名を呼びかけるなど草の根の活動の輪が広がり、県内外から目標の1万筆を上回る署名が寄せられた。

 この日は、同会の中村節雄会長代理らが記念館を訪れ、小野理事長に署名簿のほか、「多くの方々の記念館存続への思いを重く受け止めていただき、適切に対応されるよう切にお願い申し上げる」などと記した要望書を提出。その場で両者が具体的にやりとりすることはなかったが、小野理事長は報道陣の取材に「(署名を)受け取ったのではなく、お預かりしただけ。触ったり、中身を見ることも私はできない。(来年)3月31日で閉館という事実は動いていない」と語った。

 一方、中村会長代理は小野理事長の説明について、「(建物の利活用という形で)存続を決定したのは県知事であり、市長。その重さは十分理解していただきたい。財団だけの考えで物事が進むわけではない」とけん制し、3者の協議の行方を見守る考えを示した。

 記念館を所管する市教育委員会事務局文化学習活動推進課の東條英哲(ひであき)課長も立ち会った。県の担当者は姿を見せなかった。

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