青森県八戸市は20日、同市郊外の是川地域にある市営住宅用地の一部をスーパーマーケット用地として売却すると市議会建設企業協議会で明らかにした。同地域では2018年に唯一のスーパーが閉店し、買い物弱者の住民を中心にスーパーの出店を求める声が上がっていた。市によると、目的を定めて市の土地を売り出すのは前例がないという。
売却する用地は、是川団地内の是川1丁目東集会所に隣接する約1303平方メートル。2006年度に市営住宅を解体後、同集会所を除き空き地となっていた。用途地域は第1種低層住居専用地域。今月下旬から申し込みを受け付け、条件付き一般競争入札でスーパーを出店する事業者を決める。
是川団地は約半世紀前の1972年に入居が始まった。当時は青森市の幸畑団地に次ぐ県内2番目の規模の団地だったが、78年をピークに人口減少と高齢化が進行している。
市によると現在、是川地域全体で約3800人が暮らすものの、地域内にスーパーはなく最寄り店は片道約4キロの距離にある。自家用車を持たない高齢者は食料品などの買い物が困難な状況で、是川団地町内連合会などが今年5月、スーパー出店に関する要望書を市に提出していた。
市建設部の豊川雅也部長は「地域住民の思いを受け止め、検討した結果、市営住宅用地を有効活用してスーパー出店を促すことにした。長く続けられる事業者に出店してほしい」と取材に語った。