叡明館高跡に2社進出 白山・長島町 長年未利用5万6000平方メートル

製造業2社が進出する見通しとなった叡明館高跡地=白山市長島町

  ●福井鉄工所、アクトリー

 白山市長島町の私立叡明館(えいめいかん)高跡地に、福井鉄工所(川北町)とアクトリー(白山市)の製造業2社が進出する見通しであることが20日、関係者への取材で分かった。約5万6千平方メートルの広大な敷地は1995年の閉校後、金沢の情報関連会社が取得、一部で業務を行ってきたが大半は未利用だった。2社は来年以降の工場建設を計画しており、市にとって長年の懸案だった土地の開発が動き出す。

 叡明館高跡地は2002年にソフトウエア開発のジェイ・エス・エス(金沢市)が競売で落札。建物2棟を建設し、ソフト開発業務や書類の保管庫として活用してきた。ただ、土地全体の利用には至らず、空いたグラウンドは、少年野球チームに貸与するなどしていた。

 関係者によると、ジェイ・エス・エスは金沢の本社に機能を集約することを決め、昨年夏ごろに長島町での業務を終了。事業棟は跡地に残されていた廃校舎と併せて今年春までに取り壊し、一帯は更地となった。

 土木建築工事用の型枠などを手掛ける福井鉄工所は、跡地の6割近い約3万2千平方メートルの取得を目指している。高速道路など公共工事の需要増を受け、新工場を建てる方針で、来年末にも着工したい考えである。将来的には、川北町土室の本社機能や工場の移転も視野に入れているという。

 廃棄物焼却炉メーカーのアクトリーは、将来的な事業拡大に備えて約2万4千平方メートルの跡地を取得し、白山市水澄町の本社工場に次ぐ位置付けの工場の増設を検討している。

 跡地は市街化調整区域で開発行為が制限されているため、市は進出を許可する用途変更を実施するとみられる。21日以降の都市計画審議会で手続きを進める方向で、審議が順調に進めば、来年春ごろに認可が得られ、その後、ジェイ・エス・エス社と福井鉄工所、アクトリーの売買契約が交わされる見込み。売却予定額は非公表という。

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