県内病院「コロナ明け」 通常運用へ転換進む

感染症病棟を改装して再開するNICU=金沢医療センター

  ●専用病床縮小 金沢医療センター、1月に4年ぶりNICU再開

 石川県内の医療機関で新型コロナウイルスの感染収束を受け、患者の受け入れ体制を見直す動きが広がっている。金沢医療センターは感染症専門病棟を改装、来年1月から周産期医療に使う施設に戻し、新生児集中治療室(NICU)を4年ぶりに再開する。県立中央病院、金大附属病院などもコロナ専用だった病床を一般の入院患者用に使うなど柔軟な運用に切り替えており、5類移行に伴う転換が進んでいる。

 金沢医療センターは2020年4月、コロナ病床を確保するため、産婦人科病棟、小児科病棟を感染症専門病棟に転換した。その際、産婦人科と小児科は別棟に移したが、6床あったNICUは閉鎖した。

 感染管理部長も務める太田和秀地域周産期母子医療センター長は「コロナ患者の受け入れは28床でスタートし、最大で52床にまで増えた」と振り返る。

 コロナの5類移行に伴い、今年5月から病棟の改装に着手。感染症部門は一部を残しながら、小児科や産婦人科を集約し、NICU6床、産婦人科6床、小児科24床を整備した。1月4日に「赤ちゃん・こどもと女性の病棟」としてオープンさせる。

 医療センターは、県立中央病院、金大附属病院、金沢医科大病院と合わせ、総合周産期母子医療センターに認定されるなど、妊婦の産前産後の不測の事態に備える県内の中核病院の一つだ。コロナ禍前は、この4病院で計30床のNICUを稼働させていた。

 今回の改装に伴い、受け入れを再開させ、うつやてんかんなど精神的な病気を患っていたり、経済的に出産が難しかったりする妊婦のほか、日常的に人工呼吸器やたんの吸引が必要な「医療的ケア児」も支援する。太田センター長は「出産の悩み解消や新生児の治療にこれまで以上に力を入れたい」と話している。

 今年10月以降、県内では医療機関53施設が計327床を用意しコロナ患者に対応しているが、専用病床を常時確保する必要がなくなり、通常医療との両立が進んでいる。

 県立中央病院では9月まで、人工心肺装置「エクモ」を使う重症者向け病床6床を含め最大40床を確保していた。現在は、中等症・重症の患者はゼロで、軽症者の受け入れには一般病床を活用。金大附属病院でも、コロナ専用病床をコロナ禍前の元の利用方法に戻したという。

 県立中央病院の担当者は「感染が再拡大すれば、県の要請に従い段階的に中等症・重症者向けの病床を設けなければならないが、徐々にコロナ禍前の体制に近づけていきたい」としている。

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