東海再処理施設、廃液固化の目標延期 完了38年度末に 茨城

東海再処理施設について話し合われた会合=原子力規制庁

日本原子力研究開発機構は20日、廃止措置中の東海再処理施設(茨城県東海村)で、高レベル放射性廃液をガラスで固める作業の完了時期を現計画の2028年度末から38年度末に10年延期すると発表した。固化作業は機器トラブルなどで中断を繰り返し、時期の修正を迫られていた。原子力規制委員会に報告した。

東海再処理施設は、放射性物質を大量に含む廃液約370立方メートル(今年11月末時点)を保管する。ガラスで固めて安定化させる作業を最優先課題として、約880本の固化体を製造する計画だが、ガラスを溶かす溶融炉などにトラブルが相次ぎ、354本にとどまっている。22年9月からは運転が停止している。

機構が発表した新たな計画では、作動試験中の新たな溶融炉を26年4~6月ごろに動かし、固化を再開させる。劣化部品を交換するための計画停止期間を増やし、故障などのトラブルを避ける。スケジュールが順調に進んだ場合として、35年度末に作業完了する最短計画も示した。

これに対し、規制委側は最短計画などスケジュールに幅が示されている点などを念頭に、「計画は絵に描いた餅になるのではないか。計画の柔軟性は求めていない。確実にやるためにどうするか、議論すべき」と指摘した。

ガラス固化体の残り520本以上を新たな溶融炉1基で製造する計画については「これまでの実績で見れば、極めて野心的な数」として、新設炉の後継炉についても視野に入れるべきと指摘した。

機構は「ガラス固化作業を最優先事項として、引き続き安全確保を最優先に取り組みたい」とコメントを出した。

9月の会合で規制委側は28年度完了について「あまりにも非現実的」として早期の見直しを求めていた。

施設は14年に廃止が決まった。廃止には約70年かかる見通し。

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