「ここに来ると預かるプラス いろいろなことが経験できる」変わる“学童保育”のカタチ ダンスに英語 プログラミングも学べます【現場から、】

小学生が通う放課後の居場所「放課後児童クラブ」。この施設の利用を希望しているのに通うことができない「待機児童」の推移をみると、ここ数年減ってはいますが、まだまだ解消には至っていないのが実情です。この問題を解消しようと、公立とは一線を画した民間の放課後児童クラブが静岡市に増えています。

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静岡市が管理する「足久保児童クラブ」。小学校1年生から6年生までの24人が在籍、放課後から午後6時まで、子どもを預かります。支援員は10人いますが、常時いるのは3人だけ。正規雇用ではなく、非常勤やパート採用がほとんどで、時給制でボーナスはなく、低賃金なのが実情です。この雇用の仕方が支援員のなり手不足につながっています。

<足久保児童クラブ 松永雅子主任>
「子どもの命を預かっている仕事なので、責任も重いですし、本当に毎日緊張の中で、やっている仕事なので、これだけの仕事でちょっとこれではというのは正直、待遇面はもう少し見直して頂ければというのが現場の願い」

公立のクラブは、基本的に小学校区ごとに設置されていて、送迎はなく、子どもは自分で通います。そのため、別の学区へ通うことは難しく、単純に施設数が増えれば、待機児童が解決するという問題ではないのです。

こうした待機児童の受け皿になろうと民間企業が動いています。静岡市葵区にあるダンススクールでは、2022年から “踊れる”放課後児童クラブを始めました。公立の児童クラブと同様、勉強するスペースなども設けられていて、現在、120人の子どもが在籍しています。

<marbre 望月麻衣子代表>
「私自身も子育てをしながら、フルタイムで働いているので、保護者の気持ちも分かるし、共感しているのでこのような施設を作った」

<保護者>
「結構融通を利かせてくれるので助かるなという面があって選びました」

さらに、特徴的なのが公立にはない送迎サービスです。小学校までの送迎は無料で、1回500円で自宅までの送迎もしています。

<保護者>
「習い事を送り迎えの負担がなくできるというのはすごい魅力だなと思った」

2023年4月、静岡市内にオープンした民間の放課後児童クラブで、力を入れているのは習い事の充実です。英語教室のほか、プログラミングや習字など10を超える習い事を用意しています。

さらに、マリンスポーツやスポーツ観戦などの活動もあり、従来の枠にとらわれないクラブ運営が特徴です。

<グローバル スポーツ アカデミー 畠山祐輔社長>
「たくさんの選択肢の中から、自分が好きなもの、夢中になれるもの選んでいただく方が、僕は人生として楽しいんじゃないかと思っていて、ただ預かるとか、ただ勉強して、親御さんに引き渡すじゃなくて、ここに来ると、それプラス、いろいろなことが経験できる」

限られた放課後時間に付加価値をつける民間クラブ。待機児童の解消は、新たなビジネスチャンスなのかもしれません。

選択肢が増えることは子育て家庭にとってもメリットですが、一方で民間のクラブはサービスが充実している分、費用が高くなります。今後、行政などは放課後の子どもたちを等しく保障していくような仕組みが求められます。

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