対馬の“ひまわり”おばあちゃん 最優秀賞 商工会女性部全国発表大会

全国大会で受けた最優秀賞の賞状と盾を手にする小川さん。自宅玄関には、祝いの花がたくさん飾られている=対馬市豊玉町

 10月に静岡市で開催された「商工会女性部全国大会inしずおか」(全国商工会女性部連合会など主催)の主張発表大会で、対馬市の小川博子さん(77)が最優秀賞に輝いた。長崎県の女性部員としては2000年度大会以来2度目。「人との出会いが広がり、自分の可能性も再認識できた」と喜びをかみしめている。
 対馬中部・豊玉町で50年以上続く、自動車整備工場の2代目の妻。37年前に旧豊玉町の商工会女性部に入り、合併後の対馬市商工会女性部では副部長を務めた。近年は地域の子どもや保護者らに喜んでもらおうと、市内で集めたひな人形の展示イベントや、観光名所・万関橋近くに約3千本のひまわりを植えて写真撮影をしてもらうイベントに取り組んだ。
 昨年9月、女性部の仲間から、4カ月後に迫る県大会への出場を打診された。約20年前にも出たが、その年の九州大会では惜しくも2位だった。大会では10分間の発表中、原稿を見ないのが暗黙のルール。制限時間を超えると減点。「この歳でできるのだろうか」と不安もあったが、「愛する対馬のことや女性部でやってきたことを多くの人に伝えたい」と出場を決意した。
 数カ月かけて原稿を練り上げ、入浴中や運転中に暗唱して練習。大会では、日頃の女性部の活動内容にとどまらず、韓国語や替え歌も交えてユーモアあふれるスピーチを披露し、聴衆の心をつかんだ。県大会、九州大会で最高賞を受賞。全国大会に駒を進めた。
 全国6ブロックの代表者6人が出場したが、周りは50代前後の女性ばかり。「自分の娘くらいの人たち」と競い合うことになり、「優勝は無理だと思っていたから、さほど緊張はなかった」と振り返る。
 迎えた本番。全国から集った2千人を超える女性部員を前に、堂々と古里への思いを語った。「地域に根差し、ひなまつりのお姉ちゃん、ひまわりのおばあちゃんと呼ばれながら、一期一会を大切に、私たちは島の子どもを元気に守っていきます」
 結果は最優秀賞。うれしさとともに、女性部の仲間たち、家族への感謝の気持ちが込み上げた。「1年間苦しかったが、喜寿の祝いに最高の喜びをもらった」と話す。
 今後の目標は地域住民を巻き込み、女性部のイベントの輪をより広げていくこと。「まだまだぼーっとはしておれん。地域全体で仲良く知恵を出し合い、次世代のために対馬を守っていきたい」。小川さんは既に「次」を見据えている。

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