静岡大“1大学2校案”を正式案に 日詰一幸学長「合意書の範ちゅう内」も浜松医科大からの反発は必至【詳報】

静岡大学と浜松医科大学の統合再編問題をめぐって静岡大学は役員会を開き、4年前の合意書とは異なる「1大学2校」案を静大の正式な案として決定しました。これまで合意書の内容の履行を求めてきた浜松医科大からの反発は必至です。

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<静岡大学 日詰一幸学長>
「これまでも合意書の範囲の中で何とかできないかと模索してきた。(浜松医大に)『1法人1大学2校制でどうだろう?』と言った時に、大学として成案になってないものは、協議の対象外と言われましたので」

12月21日午後、会見を開いた静岡大の日詰一幸学長。この日開かれた役員会で、4年前の合意書とは異なる「1大学2校」案を静大の正式な案として決定したことを明らかにしました。

静岡大学と浜松医科大学の統合・再編をめぐっては2019年、2つの法人を統合し、静岡地区と浜松地区に新しい大学をつくる「1法人2大学」案で合意。特に浜松地区の新大学では、工学部と情報学部のある静岡大浜松キャンパスと浜松医科大の“理系の連携”が期待されていました。

ところが、合意後に静岡大のトップとなった日詰学長は「静岡大としての学部が減ってブランド力が落ちる」といった静岡キャンパス側の根強い反対論をくみ取る形で、合意書の2大学ではなく1つの大学に2つの分校を置く「1大学2校」案を推進します。

これに浜松医科大の学長は…。

<浜松医科大学 今野弘之学長>
「普通に受け止めれば、あれは…多分みなさんもそう思ってらっしゃると思いますが、基本的には合意書から1大学2校案は外れていると思いますし、成案化はぜひおやめいただきたいと、お願いしたい」

結論が出ないまま4年以上が経過した12月21日。

<杉本真子キャスター>
「学内ではさまざまな主張がぶつかる中、静岡大の正式な案を決定しようと、いま役員会が開かれています」

役員会では反対意見もあったといいますが、最終的な決定権を持つ日詰学長の意向を押す形で「1大学2校」案を決定したということです。

日詰学長は、今回示した成案は浜松医科大とすでに交わした合意書の範ちゅう内との認識を改めて示しました。

<静岡大学 日詰一幸学長>
「このビジョンを元に静岡大学の2つのキャンパスはもちろん、浜松医科大学からの納得が得られるような構想の策定に向けて連携協議会に臨みたい」

会見は午後5時半までの予定でしたが、記者からの質問が相次ぎ延長されました。
日詰学長としては「1大学2校」案を成案としたことで、浜松医科大との議論のそ上に載せたい考えで、静岡大の成案について、すでに浜松医科大側に伝えたということです。

この問題について学生に話を聞いてみると「私たちにとっての再編のメリット、デメリットが分からない」という意見や「いま騒ぎになっていることが大学のイメージを下げている」と心配する声もありました。

再編・統合の根底にある大学の魅力向上というそもそもの目標がかすんでしまっているようにも感じます。

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