従業員数削減に自国選手補強…ジム・ラトクリフ氏のユナイテッド改造計画が徐々に明らかに

[写真:Getty Images]

近々マンチェスター・ユナイテッドの共同オーナーに就任するイギリス人実業家ジム・ラトクリフ氏。抜本的改革を断行する方針のようだ。

イギリス最大手の化学会社「INEOS」の創始者・会長兼最高経営責任者であり、イギリスNo.1の富豪とも言われるラトクリフ氏。マンチェスター出身の70歳は近々ユナイテッドへの12億5000万ポンド(約2258億円)にも及ぶ投資を完了することが確実視されている。

そんな同氏だが、イギリス『サン』などによると、「ユナイテッドを各セクションで人員過多と考えており、共同オーナー就任後、直ちに人員削減に取り組む」とのことだ。

どうやら“各セクション”には現場=ファーストチーム(選手)も含まれているようだが、とりわけ問題視しているのは従業員数。ユナイテッドは昨年、従業員数が約800人から約1100人へと急増しており、組織再編と業務効率化の両方を推し進めていく方針だという。

およそ300人の従業員数増は、大半がプロモーション部門(広告映像作成・IT技術者など)の人員補充であり、今年10月には6億4840万ポンド(約1171億円)もの記録的売上に貢献。しかし、ラトクリフ氏は長期的視野に立ち、「進歩のためのコスト削減」を使命に。各部門の状況を見直し、大規模なリストラを計画しているとのことだ。

また、『サン』によると、ラトクリフ氏率いる「INEOS」はユナイテッド取締役会に少なくとも“2議席”を確保しており、喫緊の重要なタスクとして新スポーツ・ディレクター(SD)の任命、そしてここ最近報じられている通り、メディカル(医療チーム)部門の大改革を主導していくとされる。

さらに、移籍市場においても取締役会で最も大きな発言権を手にする見通しで、幼少期から半世紀以上にわたるユナイテッドファンということもあってか、イギリス人選手獲得を重視させる決意が固いとのことだ。

その一方、大きな経営課題としては、世界的な資源価格高騰により、現在ユナイテッドは本拠地オールド・トラッフォードのスタンド改修計画が棚上げされている状況だ。

ラトクリフ氏の投資額12億5000万ポンドには、スタンド改修費用を名目として2億5000万ポンド(約451億5000万円)が盛り込まれているものの、この額を持ってして計画全体をカバーすることは不可とみられている。

取得した株式は4分の1だけとはいえ、これからユナイテッドの経営に大きく影響力を持つこととなるラトクリフ氏と「INEOS」。今後の舵取りに期待と不安が集まっている。

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