高校生、自転車ヘルメットじわり増 学校義務化、自治体助成も 茨城県内調査

下校時に自転車で水戸駅近くの駐輪場へ向かう高校生=水戸市桜川

4月の改正道路交通法の施行で自転車に乗る人のヘルメット着用が努力義務となって以降、茨城県内の高校生の着用率がじわりと増えている。7月の調査では2.4%だった着用率は11月時点で12.3%まで増加した。県警が各警察署長による学校訪問などで啓発を続け、一部自治体も購入費用の助成を開始。着用を義務化した高校も出てきた。ただ、全体の中では着用率は依然として低いため、県警は学校やPTAに働きかけ普及を後押ししたい考えだ。

県警交通総務課によると、ヘルメット着用率の茨城県独自の調査を11月、駐輪場がある駅前やショッピングセンター周辺で行った。7月の調査時と比べ、高校生は9.9ポイント増えた。

自転車事故に遭った高校生の着用率は、対策前の1~5月が6.8%で、全国平均を下回っていた。対策後の6月以降は11.3%となり、全国平均を0.3ポイント上回った。2023年に高校生が関係した交通事故の死傷者338人をみると、自転車乗用中が210人で最多。一方、全年齢では過去5年で自転車関連事故による死者は61人で、37人は頭部の負傷が致命傷だった。このうち34人はヘルメットを着用しておらず、着用していれば助かった可能性がある。

県内27署の署長は9月までに、管内の公立私立を含めた全高校を訪問。交通事故の発生状況を説明し、ヘルメット着用の重要性を訴えた。その効果として、江戸川学園取手、智学館中等教育学校は自転車通学者を対象に、日立一、鹿島、日本ウェルネスの3校は運動部を対象にそれぞれヘルメット着用を義務化した。

土浦工業などは学校側が自転車安全点検の項目にヘルメット着用を追加し、水戸一など23校では生徒自身による自発的なチラシ作成やキャンペーンが行われたという。同課は「生徒が前向きに啓発活動に取り組むなど姿勢が変わってきた。意識が高まっている」と手応えを口にする。

県警は自転車販売店とも連携し、店内へのポスター掲示を通じ、情報を提供。県内23量販店の実績では11月末で大人用ヘルメットの販売数は22年の約30倍となった。

自治体も購入費用の助成金導入に動く。11月末でつくば、古河、龍ケ崎、石岡、神栖の5市が高校生を対象に導入している。

県警は県学校長会やPTA評議会などの関係機関にも働きかけ、さらなる着用率向上を目指す。担当者は「長いスパンで地道に活動していく」と力を込めた。

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