国民宿舎鵜の岬運営議論 「方針」年度内こだわらず 茨城県

国民宿舎「鵜の岬」=日立市十王町伊師

茨城県議会の第5回県有施設・県出資団体等調査特別委員会が21日開かれ、県は「国民宿舎鵜の岬」(同県日立市)の民間活力導入を含む運営の在り方検討を巡り、年度内にまとめるとしていた方針について「期限にこだわらない」と改めた。委員から「民間譲渡ありきではないか」といった声があり、検討に時間をかける必要があると判断した。茨城空港公園の一部を小美玉市に譲渡する方針も示した。

委員会冒頭で、鴨川修営業戦略部長が「議会や地元関係者としっかり議論を進め、期限にこだわらず、最適な運営の在り方を整理していきたい」と表明した。9月の第3回委員会では、年度内を期限に方針をまとめる考えを示していた。今後、宿泊料値上げや料金設定の柔軟化などの視点も含め、あらゆる可能性を排除せず検討するという。

県によると、鵜の岬は1989年度以降、34年連続で宿泊利用率が全国1位となる半面、比較的低い料金を背景に客室数に対する人件費や食材原価率が高く、収益性は低い傾向。今後10年間で9億円超の大規模修繕も見込まれ、収益構造見直しが必要となっている。

一方、この日の委員会では「民間、売却ありきではないように」など、民間譲渡が前提となっていないか、懸念する声が相次いだ。5日の同施設視察では、同様の意見や「値上げ検討の余地がある」といった声も上がっていた。

田山東湖委員長は「(同施設は)県を代表する観光資源。観光振興、県北振興の柱として大切にするとともに、有効に活用していってほしい」と求めた。

ほかの施設では、茨城空港公園について、小美玉市に一部を有償譲渡する手続きを進めていくとした。対象は公園北側の未供用部分約2.9ヘクタール。また県は今後、同特別委の調査対象の全120施設に関し、第2回定例会時に毎年1回、所管の常任委員会で定期報告するとした。

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