高齢化が進む岩手県内で「移動スーパー」が存在感を増している。運転免許証の自主返納などで移動手段が限られ、買い物に困難を抱える住民は少なくない。広い県土で冬は雪深い地域に車を走らせ、高齢者の暮らしを支えながら交流促進、見守りにも一役買っている。専門家は、食に限らないサービス拡充により、事業者の増収につながる可能性を指摘する。
民家が点在する宮古市区界。週1回のペースで滝沢市外山の野頭邦雄さん(66)の移動販売車が訪れる。後部の扉が開き、びっしり積まれた生鮮食品、総菜、菓子などが現れた。
車が「売り場」の野頭さんは燃料費高騰に苦しむが、安価な仕入れ先を探しながら商品を充実させてきた。あらかじめ注文があれば個別の調達にも応じ、盛岡市薮川や岩手町などにも車を走らせる。