栃木県イチゴ産出額、28年連続日本一 「とちあいか」生産が拡大

 農林水産省が22日発表した2022年の農業産出額(速報値)で、栃木県のイチゴは前年比11.7%(29億円)増の277億円と、2位福岡県の242億円を上回り、28年連続日本一が確実となった。10アール当たり収量(単収)に優れる「とちあいか」の生産が拡大し出荷が安定した上、販売単価も好調に推移したことが主な要因。過去最高の16年(285億円)に次いで、2番目に高い水準となった。

 農業産出額は販売価格と生産量を基に算出される。

 22年産出額の対象となる22年産(21年秋~22年春)の栃木県イチゴは、出荷量が2万2900トンと前年の横ばいで、福岡県の1万5900トンを大きく上回った。

 特にとちあいかは、「とちおとめ」より単収が3割多いとされ、栽培面積が前年の2.7倍の52ヘクタールに拡大。JA全農とちぎの出荷分で、販売単価も22年産が1キログラム1266円と、21年産の1169円を上回った。

 県生産振興課によると、22年産は台風や猛暑などの影響が少なく、病気に強いとちあいかの栽培が拡大したことで、生産者が減少する中でも出荷は安定した。とちあいかの食味の評価も良く、単価も上がった。

 2位の福岡県は、販売単価(JA出荷分)が日本一の品種「あまおう」がけん引し、産出額が前年比11.0%増と好調に推移したが、栃木県に及ばなかった。

 栃木県は23年以降も産出額の増大が見込まれる。主力となったとちあいかの栽培面積は、23年産(22年秋~23年春)で125ヘクタールに拡大した。さらに最新の集計で24年産(23年秋~24年春)は255ヘクタールと、とちおとめ(166ヘクタール)を大きく上回っている。

 県は32年の産出額の目標に370億円を掲げており、同課は「とちあいかの栽培面積をさらに増やす。品質や収量の安定化に向け、農家の指導を強化していく」としている。

 栃木県全体の22年農業産出額は0.9%(25億円)増の2718億円だった。上位3品目は、コメが1.1%増の458億円、生乳が4.0%増の418億円、豚が6.5%減の287億円で、イチゴは4位だった。

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