【高野善松さん(沼垂ビール株式会社 / 代表)】“沼垂発、マイクルブルワリーの魅力を広めたい”


高野 善松(たかの ぜんまつ):新潟市中央区沼垂で生まれ育つ。新潟大学を卒業後、大阪の大手銀行に入行する。38歳で退職した後、「有限会社オレンジ・ラボ」を設立し、中小企業の新規事業開発やコンサルティング業務などに幅広く携わる。2016年に帰郷し、沼垂を盛り上げたいとマイクロブルワリー「沼垂ビール」をオープン。実家を改装したビアパブで、こだわりのクラフトビールとフードを提供している。


ガタチラスタッフ:『新潟人180人目は、「沼垂ビール株式会社」の代表・高野善松さんです!併設しているビアパブで、こだわりのクラフトビールを飲むことができるのが魅力ですよね♪高野さんのこれまでや「マイクロブルワリー」をはじめたきっかけなどのお話をお聞きしました!素敵な笑顔で取材に応じてくださり、ありがとうございました!』

銀行マンからコンサルタント、そしてマイクロブルワリーへ

──以前は銀行員だったのですね!

高野さん:そうなんです。当時は高度成長期だったので、就職は大企業指向でした。新潟で就職することは考えていなかったですね。経済学部で学んでいたので、金融機関を選びました。

──どれくらい勤められたのですか?

高野さん:そこには15年勤めて、38歳の時に退職しました。会社に不満があったわけではありません。銀行に関する仕事はひと通り学べましたし、様々な経験をさせてもらったので充実していました。

──退職するきっかけは何だったのですか?

高野さん:36歳の頃から「中小企業診断士の資格を取得しよう」と考えていたのと、自分は組織に属して管理する立場よりも「現場で働きたい」と思ったんです。銀行を退職後は、東京でコンサルタントをやりながら、事業立ち上げや商店街の活性化、ベンチャー企業への投資マネジメント、金融機関向けセミナーなどをして、2016年に新潟へ戻ってきました。

──手広くされていたのですね…!

高野さん:コンサルタントの仕事は面白かったですが、実際に自分でも事業を始めたいと感じたんですよね。それと同時に、都会の仕事生活に、心も体もしんどくなっていたこともあり、新潟へ帰ろうと考えました。

──ブルワリーを始めようと思ったのはなぜですか?

高野さん:この歳で新潟へ戻っても就職先が見つかるわけでもないし、何か自分で事業を立ち上げてやれることを探していたら、「マイクロブルワリー(小規模なビール醸造所)」を知りました。「これだ!」と思ったんです(笑)。ゲストハウスなどいろいろ考えましたが、最終的にマイクロブルワリーに辿り着きました。

試行錯誤の連続だったブルワリー作り

──それで「沼垂ビール」を立ち上げたのですね。

高野さん:2024年で丸8年になります。最初は150ℓの仕込みを寸胴鍋で始めました。しかし、商品のクオリティがなかなか上がらず、試行錯誤しましたね。その後、他のブルワリーで教えてもらいながら、300ℓサイズの中古の醸造設備を購入したり、発酵タンクを自分で海外のメーカーと直接交渉して買い付けて搬入据付したり、少しづつ環境を整えていきました。

──すべて独学とは驚きです…!

高野さん:最初の2年間でビールの作り方をマスターして、ブルワリーを立ち上げる準備をしていました。東京での仕事をこなして生活の糧を得ながら、毎週新潟での立ち上げ準備で、かなりのハードスケジュールでしたが、大変よりは楽しい気持ちが強かったですね!

──モチベーションの源泉は何ですか?

高野さん:「新潟に帰って、マイクロブルワリーを成功させたかった」という想い一つですね。バブル期の銀行時代やコンサルタント時代のハードワークがあったから、乗り切れた気がします。当時は朝から晩まで働きづめでしたからね(笑)。

──“始めるなら地元の沼垂で”、という想いだったのですか?

高野さん:“実家に戻る”が大前提でしたし、このブルワリーは実家を改装して作りました。最初は少し離れたところに建てていたのですが、栗ノ木バイパスの拡幅工事で立ち退きすることになり、今の場所に移りました。

まだまだ続く味への挑戦

──「沼垂ビール」のこだわりを教えてください!

高野さん:“モルト感”ですね。口当たりに残る「ふくよかな味わい」ですね。よく「切れがあるビール」と言いますが、これはスッキリして後味が残らないビールのことです。 逆に“余韻が残る芳醇な味わい”が「沼垂ビール」の特徴だと思います。

──種類も豊富ですよね!

高野さん:定番ラインナップのほかに、“季節限定ビール”を作っています。「今まで作ったことがないビールだから作ってみようか」という感じで新商品を考えたりしていますね。

ビールは大きく分けると、沼垂ビールのような“芳醇な味わい”の「ブリティッシュエール」と、大手ビールメーカーが作る“軽い味わい”の「ラガービール」があります。今まではなかった飲みやすい「ラガービール」を、これから新たに作ろうとしています。常に“新しい味へのチャレンジ”ですね。

──併設しているパブで飲めるのも特徴ですよね!

高野さん:ヨーロッパのマイクロブルワリーは、その場で飲めるのが基本なんですよ。「ブリューパブ」と言いますが、それを新潟に作りたかったのです。パブがあれば人が集まりますし、特徴も出せますからね。お客様の感想を直接聞けるのも良かったと思います。

──お店の古民家風の雰囲気も素敵です…!

高野さん:クラフトビールだからと言って、何でもヨーロッパ風じゃなくてもいいと思うんですよ。「沼垂ビール」をぜひ味わっていただきたいですね。最近はブルワリーも全国各地に増えたので、私も他店へ行って味わうこともあります。それぞれのブルワリーに個性があるので、その独自性を楽しんでみてください!

──お客様からの嬉しかった言葉はありますか?

高野さん:当たり前のことですが、「おいしい」や「お店の雰囲気がいい」と言われると嬉しいですね。「もっとおいしいビールを作ろう!」とやりがいを感じます。

──最後に、今後の目標を教えてください!

高野さん:仕込みタンクのサイズを300ℓから600ℓに上げる準備をしています。タンクが倍になるので、その安定稼働を目指していきたいです。そして、味をより追求していきたいと思っています!

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【沼垂ビール】
住所:新潟市中央区沼垂東2-9-5
電話:025-383-8720
ビアパブ営業時間:火~金17:00~21:00、土13:00~21:00、日11:30~17:00
定休日:月曜
公式ホームページ:https://nuttaribeer.co.jp/

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