滋賀・近江八幡市長の裁量権認める 新市庁舎巡り8億円の損賠求めた前市長ら敗訴

近江八幡市役所

 滋賀県近江八幡市の新市庁舎建設工事を中止したのは違法で市に損害を与えたなどとして、前市長の冨士谷英正氏らが小西理市長に計約8億円の損害賠償を求めた住民訴訟の判決が22日、大津地裁であった。池田聡介裁判長は、冨士谷氏らの請求を棄却、一部を却下した。

 判決によると、小西市長は、2018年に行われた市長選の公約の一つに新庁舎の建設見直しを掲げ当選。就任日には建設に係る請負契約を解除し、その後、業者に清算金や損害賠償金約4億5千万円を支払った。

 冨士谷氏らは業者との契約解除は、解除権の乱用と主張していた。池田裁判長は「社会情勢の変動に伴って施策が変更されうることは当然で、従前の政策決定に拘束されない」と判断。市長としての裁量権の逸脱・乱用と認めうる事情はないとし、「契約解除が違法とする原告の主張は認められない」と退けた。

 冨士谷氏は「民主主義を疑いたくなる判決。上級審で判断を仰ぎたい」とし、控訴する意向を示した。小西市長は「正式な手続きを経て適切に行ったもので、契約解除行為や支出が違法でないという本市の主張が認められた」とのコメントを出した。

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