高級魚・クエの販路開拓へ 長崎県総合水産試験場の独自研究 長距離輸送でも鮮度保つ

クエの刺し身を食べ比べる関係者=県庁

 高級魚として知られ、長崎県内で漁獲量が増えているクエ。首都圏などに長距離輸送するため、肉質の鮮度を保つ技術の開発が進められている。県総合水産試験場(長崎市)は独自の脱血法を研究。においや食感に一定の効果があるという結果が得られた。
 県によると、県内のクエ漁獲量は、ここ10年で約3倍増。2016年度から増加傾向にあり、2019年度には最大約250トンまで増えた。クエは1キロ当たり約3千~6千円と単価が高く、県産魚として関東や海外にも販路拡大を目指している。
 県総合水試は、昨年から長距離流通に向けた品質保持技術を研究してきた。これまでにマダイやブリで脱血処理を試験。えらを全て切り、氷で冷やした海水で血を抜いた後、垂下するやり方が最も鮮度を保てることが確認され、この手法をクエにも応用した。
 12月8日、クエの試食会が県庁で開かれ、県漁連や魚市などの職員約40人が参加。(1)脱血処理をせずに1日保存(2)7日保存(3)脱血処理して4日保存(4)7日保存(5)10日保存-の5パターンを食べ比べた。アンケートの結果は「血を抜いて4日後」が「においが気にならず、見た目や食感もいい」と高評価を集めた。
 水産加工開発指導センターの久保久美子主任研究員は「時間が経過して脂が酸化した際、血が残っていると生臭いにおいが出る」と分析。「高品質を保持するためにも、漁師さんには海水氷で放血し、できることなら垂下処理して脱血してほしい」と話した。

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