髪の本数が同じ人はいる? 沖縄出身の17歳が数学雑誌を発刊 在学する国際基督教大高校で生徒に好評

 沖縄県北谷町出身で国際基督教大学高校(東京都)に通う池原英人(ひでと)さん(17)が、同校の生徒や教師が書いた数学に関するコラムをまとめた数学雑誌を出版した。「数学雑誌プロジェクト」と銘打って同級生らと企画を立ち上げ、編集や広告営業まで挑戦。同じく県出身で同校で数学を教える吉里恵理子教諭がサポートした。2冊目の準備を進めており、2人は「次は沖縄の人にも届けられるようにしたい」と意気込んでいる。(社会部・普久原茜)

 池原さんは高校入学を機に家族から離れ、東京の寮に住んで学校に通っている。小学生の頃から数字が好きで、数学は趣味だという。より多くの人に数学を好きになってもらいたいと1年生の時にプロジェクトを企画し、執筆者11人、20以上のコラムを90ページフルカラーで1冊にまとめた。

 「三鷹市に髪の毛の本数が全く同じ人はいるだろうか?」「雪の結晶はどうやって形が決まる?」など、さまざまな切り口で数学の面白さを紹介している。池原さんは「参考書とは違って知識の量に関係なく楽しめるようにしたかった」と強調する。

 雑誌の中で掲載した広告収入も活用しつつ、ほとんどが自費で500部を制作。校内で配布したり学校説明会で活用されたりしたという。校内の図書館で数学のお薦め本を紹介するコーナーを作るなど、雑誌を活用した取り組みも企画した。

 サポートした吉里教諭は「前例のない大きなプロジェクトになった。敬遠されがちな数学にフォーカスを当ててくれて、生徒たちの中でも数学が見直されると思う」と期待する。

 池原さんの元には雑誌を読んだ生徒から「数学が身近になった」という声も届いた。現在は2冊目の出版に向けてクラウドファンディング(CF)を企画しており、マネジャーやカメラマン、広告営業などの担当を割り当てた生徒で構成するチームも編成した。「数学の面白さ、美しさ、楽しさを感じてほしい」と意欲は尽きない。

 池原さんも吉里教諭も、沖縄で育つ過程で数学に出合い好きになったと振り返る。「沖縄出身の2人がこのプロジェクトに関わることに縁を感じる。沖縄の人にも雑誌を読んでもらえたらうれしい」と声をそろえた。 CFは来年3月1日まで。詳細は下記のURLから。
https://camp-fire.jp/projects/view/706464?utmsource=qrcode

制作した「数学雑誌」を手にする池原英人さん(右)と吉里恵理子教諭
池原さんらが学校の図書館で企画した数学フェア

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