開院目標30年3月めど、病床規模「750床」に縮小 統合新病院有識者会議、意見集約

 青森県立中央病院と青森市民病院(ともに青森市)の統合新病院整備を巡り、従来の検討内容見直しを議論する県と青森市の有識者会議は23日、県庁で2回目の会合を開き「2030年3月をめどに新病院開院」との目標を設定する意見を取りまとめた。一般病床の規模は将来的な人口減少を考慮し、従来よりも縮小した「750床」程度として意見を集約した。有識者会議の意見を踏まえ、県と市は基本構想・基本計画案の作成を進める方針。

 これまでの検討過程では、立地場所や工事の具体的内容が決まっていないなどの理由から、開院時期の明確な設定が行われていなかった。

 一方で、早期の開院を目指す議論のためには目標の設定が必要ではないか-として、事務局がメンバーからの意見を求めた。

 県医療審議会の納谷むつみ委員は「目標が見えると、内容を考える目安にも安心感にもつながる。ぜひ設定してほしい」と賛同。基本計画策定から開院までの期間をおおむね6~8年と見込んでいる他県の事例や、県内の基準病床数を定める県の次期保健医療計画の期間(24~29年度)を基に、現時点での開院目標を30年3月(29年度末)と取りまとめた。事業の進み具合から、遅れがあり得ることも併せて示した。

 現在の病床数は、県病と市民病院合わせて1138床。県と市が従来示していた新病院の病床規模は「800~900床」だった。会議では、人口減少がさらに進む前提での病床数の計算方法を議論し、750床との算出結果が出た。

 乳がんピアサポートBECあおもりの佐藤庸子代表は「病床数が少なすぎると、入れない患者が出てくるのでは」と意見を述べた。事務局は、23年度の1日平均入院者数が両病院合わせて717.5人となっている現状や、患者数の減少が続く推計などを説明。750床とする考え方をメンバー間で確認した。

 会議終了後、座長を務める弘前大学の福田眞作学長は「社会情勢を考えると、目標から開院が遅れる可能性は高いが、議論を深めていく意味で、時期の設定に意義がある」と述べた。病床数については、患者数の見通しや病院経営の側面から「750床でも患者が困るような状況にはならない」との見方を示した。

© 株式会社東奥日報社