「継がせたい事業者発掘」第1弾を公開 青森県、全国対象マッチング支援

弘前市の「野風パン」(ニホン継業バンク提供)
弘前市の「太田印房」(ニホン継業バンク提供)
野辺地町で営業していた「花のみどりや」(ニホン継業バンク提供)

 経営者の高齢化や後継者の不在といった課題を抱える青森県内中小企業の事業承継を支援する県の「継がせたい事業者発掘事業」について、県は23日までに、第1弾のモデル事業者として選定した弘前市と野辺地町の3事業者を公表した。3事業者の紹介情報は、全国各地の小規模事業者の事業承継を支援する民間サイト「ニホン継業バンク」で今秋から掲載されている。

 公開を開始したのは、野風(やふう)パン(弘前市百沢)、太田印房(同市和徳)、花のみどりや(野辺地町=既に閉店)の3事業者。野風パンは、岩木山麓で20年以上続けてきたパン作りの技術と石窯を備えたログハウスを、津軽地域で広い認知度を誇る太田印房は、印章彫刻技能士である太田秀穂代表(76)の技と経営資源を、それぞれ継承したい考え。花のみどりやは現在空き店舗となっているが、住居一体の建物を譲り受け、地域に必要な事業を始める意欲のある人を募っている。

 太田印房の3代目として現在も老舗を守る太田代表は「後継者がいないものの、現在務めている従業員の働き続けたいという希望もあり、県に相談させてもらった。これまで地域で積み上げてきた事業を引き継いでくれる人がいればうれしい」と期待を寄せている。

 県は同事業を通し、県内の「継がせたい事業者」を公開し、全国の「継ぎたい候補者」とのマッチングを支援。公募で決定した弘前、三沢、野辺地の3市町から事業者を募り、今回のモデル事業者を決定した。三沢市からの応募案件についても、現在公開に向けて調整を進めている。

 県商工労働部の上沢謙一次長は「事業承継を検討できずに廃業する中小企業を減らすため、今後も取り組みを継続していきたい」と話す。

 公開事業者の事業承継に関する問い合わせは「ニホン継業バンク」のホームページ、または事業委託先のジェイアール東日本企画(電話017-721-0190)へ。

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