刀羅ナツコ スターダム12・29両国の詩美&上谷組への挑戦は「ベルトが欲しいから、だけではない」

女子プロレス・スターダムの大江戸隊を率いる刀羅ナツコは12・29両国国技館大会で渡辺桃とともに、林下詩美&上谷沙弥が保持するゴッデス選手権に挑戦する。ヒール軍団のリーダーは今年6月の苦い黒星を振り返り、「大江戸隊が続いていくためにも、強くなければならない」とリベンジを誓った。

13日の調印式。渡辺とともに王者組にかみついた刀羅だったが、詩美から「もうオマエらに興味ない。防衛して、大江戸隊との関係も終わらせたい」と吐き捨てられた。「本当は自分たちが逆の立場で、ああ言ってやりたかった」と、挑戦者に甘んじる立場を苦々しく感じた。

刀羅は3月に琉悪夏と、5月に渡辺とともにゴッデス王座に、10月には団体最高峰のワールド王座に挑戦した。渡辺は2月と9月にワンダー王座に挑戦。全て王座奪取には至らなかったが、競争が厳しいスターダムで、今年もヒール軍団は一定の存在感を示した。

刀羅は「存在感を示したと言われるのは結構だけど、ベルトを獲れていない訳だから、それは腹が立つ。やっぱり6月だな。ユニット抗争に負けたあの試合が大きい。あれで全体的に流れが悪くなった」と表情を曇らせた。

詩美がリーダーのクイーンズクエストとは、渡辺が2021年12月に大江戸隊に寝返ったことを因縁に、一層激しく衝突を繰り返してきた。今年の6・25代々木大会では全面対抗戦として、エスケープルールで金網12人タッグマッチに臨んだが敗戦。取り残された当時ハイスピード王者の鹿島沙希に大江戸隊からの追放処分を下すに至った。

吏南が5月にフューチャー王者となり防衛を続ける明るい成果もあったが、刀羅は満足することができない。そこには大江戸隊に対する思い入れがあった。

「大江戸隊は自分の練習生時代からあったユニット。これまで名だたる選手が在籍してきたし、なくしちゃいけないと思っている。もしユニット存続をかけた抗争が起きたら、負けたらなくなってしまう。だから大江戸隊が続いていくためにも、強くなければならないし、負けていられない」

木村響子、安川惡斗、木村花、花月ら名レスラーが名前を刻んできたユニット。刀羅は2016年にデビュー後、2019年に大江戸隊に加入し、翌年からリーダーに就任した。2021年7月には詩美が王者だったワールド選手権で左膝前十字靭帯断裂の重傷を負った。約半年の欠場を余儀なくされた。「あの間、自分がいなくても大江戸隊を支えてくれたメンバーには感謝している。今年の夏に(スターライト・)キッドがケガで離れたけれど、アイツの気持ちはよく分かる。大江戸隊を守る気持ちはより強くなった」と振り返った。

たとえ悪に正義はないとしても、道義と義理はある。今年は極悪同盟・ダンプ松本と初めてタッグを組むなど新しい刺激もあった。刀羅は「借りを返すためにも負けられない。ベルトが欲しいから、だけではない。勝って気持ち良く来年を迎えたいよな」と、表情に闘志を浮かべた。

(よろず~ニュース・山本 鋼平)

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