日野町事件で特別抗告の大阪高検「証人尋問が未実施」と主張、弁護団「引き延ばし」と批判

日野町事件の弁護団=2023年3月、大阪弁護士会館

 滋賀県の日野町事件で、阪原弘さんの再審開始を認めた大阪高裁決定を不服として最高裁に特別抗告した大阪高検が、「証人尋問が実施されていない」などと主張していることが12月25日に分かった。

 事件当日に知人宅で酔って寝込んでいたとする阪原さんのアリバイ主張を巡り、弁護団は再審請求審で「寝ている阪原さんを目撃した」とする女性の証言を録画したビデオテープを証拠提出した。大阪高裁はこの証言を「容易に否定し難い」と判断した。

 弁護団によると、大阪高検は特別抗告の中で「証人尋問が実施されておらず、新たな証言を慎重に吟味した形成は全くない」とし、高裁決定の判例違反を主張しているという。

 弁護団は「証人尋問を請求したのに、検察が反対し、自ら証言を吟味する機会を放棄した」と反論。伊賀興一団長は「自白以外に証拠がなく、再審公判で(有罪を)立証できないのは明らか。なんとか引き延ばししようと抗告したことが分かる」と批判する。

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