●経費かさみ維持困難
輪島市門前町千代にある公営リゾートホテル「能登・門前ファミリーイン ビュー・サンセット」に関し、輪島市が今年度末で閉鎖する方向で調整していることが25日、分かった。奇抜で斬新なデザインの建物で、観光客や地元住民に愛されてきたが、人件費を含む運営経費が年間6千万円必要で、施設の維持が難しいと判断した。門前地区唯一のホテルで、市は今後、民間への売却を視野に活用策を探る。
ビュー・サンセットは1991(平成3)年10月、合併前の旧門前町が整備し、滞在型観光の拠点施設として開業した。県能登島ガラス美術館も手掛けた世界的な建築家毛綱毅曠(もづなきこう)氏(1941~2001年)が設計した。県輪島漆芸美術館や星の観察施設「満天星」などが整備された奥能登健民ふれあい拠点構想の施設にも位置づけられた。
当時としては珍しいペデストリアンデッキ(高架型の歩道)の通路を設け、展望塔なども備えている。客室は和洋23室で、コテージ5棟を併設し、収容人数は100人。コンベンションホールやレストラン、天然ラドン温泉、日本庭園、囲炉裏コーナーなどがあり、人気だった。
日本海むら開発公社(理事長・中山由紀夫副市長)が指定管理者となって運営してきたが、施設の老朽化に加え、経費がかさみ、来年3月末で閉じることにした。
門前地区では合併前に国民宿舎「つるぎぢ荘」が営業していたが、現在はビュー・サンセットが唯一のホテルとなっている。
●26日説明会
市などは26日午前10時から同市門前会館で説明会を開き、施設廃止の方針や今後の見通しなどを住民に説明する。