スキー遠足存続の危機 金沢市内小学校で内川、医王山の2校だけ

スキー遠足を満喫する児童=2017年1月、市営医王山スキー場

  ●10年前は27校 費用負担、コロナ追い打ち

 金沢市立小学校の冬の風物詩として知られ、2013年度には27校で実施された行事「スキー遠足」が20年度以降、自然豊かな山間地の内川、医王山の2校でしか行われていない。スキー人口の減少が進む中、家庭が負担する費用も大きく、中止する学校が相次ぎ、さらにコロナ禍が追い打ちをかけた。今のところ再開しようとする学校はなく、雪国・金沢ならではの学校行事が消えようとしている。

 市教委によると、スキー遠足は少なくとも約60年前から、子どもたちに雪国で暮らす楽しさを感じ取ってほしいと行われている。

 実施校は2001年度は58校1分校中54校と9割を占めた。以降、10年度33校、15年度22校、18年度14校、19年度の11校と減り、20年度はコロナ禍の影響で内川、医王山の2校だけ。今年度までの過去3年も54校1分校中、実施したのはこの2校となっている。

 市教委によると、スキー遠足は道具のレンタル代やリフト代など多額の費用がかかる。近年は、暖冬による雪不足で中止になる可能性も大きくなった。

 スキー技術に個人差がある教員に代わり、指導できる保護者の協力も必要となることから、年間行事計画に盛り込まない学校が増加した。この傾向にコロナ禍に伴う活動自粛が中止に拍車をかけた。

  ●市連盟は教室開催

 一方、遠足に代わる機会を提供しようと、市スキー連盟は1月20、21日、市営医王山スキー場で小学生以上を対象に教室を開く。山田敏之理事長は「風を切る楽しさを体感し、雪国での思い出をつくってほしい」と話した。

 15年度は医王山スキー場で実施する学校が6校あったが、20年度以降は1校もない。内川は全学年が白山市の一里野温泉スキー場、医王山は4~6年生が南砺市のイオックス・アローザスキー場へ行く予定だ。

 スキー遠足を続けている医王山小中の田中宏志校長は「毎年、スキー遠足で頑張り、助け合う子どもたちの姿に成長を感じている。他の行事をカットしてでも続けたい」と話した。

© 株式会社北國新聞社