ご神木使い家持像完成 射水・放生津八幡宮 樹齢200年、井波彫刻の技生かす

ご神木で制作した家持像=射水市の放生津八幡宮

 射水市の放生津(ほうじょうづ)八幡宮は25日、伐採したマツのご神木を使用した「大伴家持像」を境内に設置した。八幡宮は大伴家持が創建したとされ、タカ狩りに臨む家持を表現した。この日は除幕式が行われ、地域住民や関係者らが完成を祝った。

 放生津八幡宮は、家持が746(天平18)年に豊前国の宇佐宮の分霊を勧請(かんじょう)して前身の奈呉八幡宮を建立したことに始まると伝えられ、境内には家持を祭神とする祖霊社が建てられている。

 家持像に使用されたマツは樹齢200年以上とされる。長年に渡って地域住民らに愛されてきたが老木化の影響で枯れてきたことから、参拝者の安全を確保する目的で2013年に伐採した。大伴泰史宮司がご神木を形に残したいと考え、井波彫刻師の3代目南部白雲さんに依頼した。家持像は高さ1メートル80センチ、幅90センチあり、家持とタカが彫刻されている。

 18日には国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産「山・鉾・屋台行事」について、国の文化審議会が「放生津八幡宮祭の曳山・築山行事」を追加候補に選んだ。築山行事では19年に家持らの飾人形を配置し、元号「令和」の典拠となった万葉集の「梅花の宴」の場面を再現するなど、行事に家持は欠かせない存在となっている。

 25日の除幕式では大伴泰史宮司が祝詞を奏上し、南部さんや氏子ら約20人が玉串を奉納した。式後は地域住民が続々と見学に訪れ、完成した家持像に見入った。

 南部さんは「今まで地域を見守ってきたご神木が新たな形として残すことができて良かった」と話した。大伴宮司は「とても力強い作品ができて感動している。多くの参拝者に見てもらいたい」と述べた。

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