年末年始にこそやりたい家計の整理整頓、使う・貯める・増やすの三分法とは?

年末年始、みなさんは少しゆっくりされる時間もあるのでしょうか? 今回は、今だからこそ取り組みたい家計の整理整頓法をご紹介します。年に1回の恒例にしていただけると、家計の成長率も上がっていくでしょう。


持っている通帳はすべて記帳する

「お財布を忘れて家をでたけれど、スマホがあれば何にも困らないね」

こんな会話もちらほらと耳に入るほど、最近はキャッシュレス化が進んでいます。そのためか、ATMでお金を引き出すこともあまりしなくなったという方も多いのではないかと思います。

だからこそ、いくら使ったのかを把握するためにも、年末年始にはお金の現状把握と整理整頓を行い、効率良くお金が増える体制を整えたいものです。

まず行って欲しいことが、通帳記入です。ウェブ通帳を利用している場合は、面倒でもダウンロードして数字を把握しましょう。通帳によっては、まったく入出金がないものもあるかも知れません。その場合は、口座解約の手続きもしてしまいましょう。預金口座を必要以上に持っていても管理が複雑になるだけです。

記入が終わったら、1年を振り返ります。遡って月末残高をメモしていきましょう。できればエクセル表に入力していくと全体像を把握しやすくなります。

毎月の預金残高を時系列に並べてみると、何がわかるでしょうか? グラフ化するのも良いでしょう。毎月残高が増えているのであれば、支出より収入が多いということなので、もう少し投資に回せるお金を増やすことができるかも知れません。

お金の流れもついでに見てみましょう。口座からの引落しになっている支払もいくつかあります。水道光熱費や住居費、習い事などの費用など数字を追ってみると、基本的な生活費をおおよそ把握することができます。行かなくなったジムの費用や、もはや惰性となっているサブスクなど、このタイミングで断捨離しましょう。クレジットカードの明細も同様に目をとおしていきます。

使う・貯める・増やすの三分法

仮に月の基本生活費が40万円だとしましょう。ここでは多い、少ないは問題ありません。まずは現在どのくらい使っているのかを把握します。住宅ローンがある場合も基本生活費に含めます。この基本生活費の3ヶ月分を普段利用する普通預金口座の給与日前残高に設定します。

生活費3ヶ月分は、非常時の支出に備えるためのお金です。給与日前の残高が120万円で、給与日には1ヶ月に必要な生活費40万円を普通預金に入金します。すると残高が160万円になりますが、1ヶ月経過した次の給与日前にはまた残高が120万円に戻ります。この預金口座は「使うお金」の置き場所と呼びます。

このサイクルを数ヶ月続けると、生活費の検証が可能になります。もちろん毎月多少の変動がありますが、だいたい給与日前の残高が一定であれば、予算内で生活ができていることになります。大きく残高が変動したときは、イレギュラーな支出はなんだったのか確認が可能ですし、なにか節約したいとなった場合でも数字を追いやすくなります。共働き世帯など特に日々忙しいでしょうから、少し時間がある時にお金の流れが把握しやすい仕組みを作ることをお勧めします。

1年を振り返り把握した月末残高の増額分は、「貯めるお金」の口座に移しましょう。積立預金の設定にしても良いでしょう。貯めるお金は、5年から10年以内に使う目的のお金の保管場所です。このお金は投資には回さず元本が割れない確実な金融商品にします。

例えばネット銀行の定期預金もお勧めです。オリックス銀行やあおぞら銀行であれば、比較的金利が高く設定されています。通帳記入をしてみて、低金利口座に眠ったままのお金があるようであれば、まとめて定期預金にしましょう。

定期預金は3年以上の期間で預けると複利となります。目的に合わせて期間も選ぶとお金の増え方も変わります。預けるお金の額によって金利が高くなることもあります。ただし、満期日前に解約をすると解約利率といって設定されていた金利より低い金利しかつかなくなってしまいますので、むやみにお金をまとめてしまうのも考え物です。ここも使う目的に合わせて上手に選びます。

最近は10年ものの個人向け国債の金利も上がってきました。12月発行のものは、0.46%です。これは変動金利なので、半年に1回金利が見直しされます。発行から1年経過すれば途中換金も可能です。その際は、直近2回分の利子分が差し引かれますが、元本は割れないので、安全確実の貯めるお金の置き場所としては、有効です。銀行や証券会社で購入が可能です。

投資に回せるお金を毎年増やす

貯めるお金についても、適時使う計画のチェックをしましょう。例えば、お子さんの教育資金としてお金を貯めている場合でも、進路が変われば貯めるべき金額も変わります。住宅購入の頭金、自動車購入の代金、家電の買い換え、家族旅行などなど1年に1回お金を使う見通しを立ててみましょう。

年に1回、お金の見通しを立てることを恒例とすると、計画が適正だったのか、金融商品の選択に問題がなかったのかも適時確認もできます。もしかしたら、預金に置いておくのではなく、「増やすお金」として投資に回せるお金と判断できるものも出てくるかも知れません。

増やすお金は、10年以上を目安に投資によって成長させるお金です。まずはiDeCoやNISAの枠を利用して税の優遇も活かして投資信託を積立で購入していきます。まだiDeCoやNISAを始めていない人こそ、年末年始の時間を利用することをお勧めします。

何事も始めてのことは、面倒に思うものです。特に金融の手続きは知らない言葉も多いため、敬遠される方も少なくありません。しかし、一度設定が終了すれば、決まった金額で決まった投資信託を自動的に買い付けされるのですから、やはりここは頑張りたいところです。今取り組んでしまえば、次のチェックは1年後です。

お金の整理整頓は心の余裕を作る

このようにお金の整理整頓ができれば、それぞれの使う目的に合わせて「置き場所」を選ぶことができます。お金の定位置が決まれば、自動的にその場所にお金が流れるように、設定すればあとは面倒がなくなります。

1年に1回のチェックを恒例にしていただければ、「増やすお金」が多少変動していたとしても、そもそも使う時期はずいぶん先にあるのだからと、焦って解約したり、逆に少しの利益を確定するために解約したりということを防ぐことができます。

投資のリスクは、市場の変動より心の変動の方が怖いものです。心を平静に保ち、お金を成長させるためにも年に1回、お金の整理整頓をしてみてください。

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