映画初出演の中野有紗 ヴェンダースが一目ぼれした柄本時生 「PERFECT DAYS」特別映像

第76回カンヌ国際映画祭で役所広司が最優秀男優賞を受賞したヴィム・ヴェンダース監督作「PERFECT DAYS」(公開中)から、渋谷の公衆トイレの清掃員として規則正しく働くニコ(中野有紗)とタカシ(柄本時生)の特別映像が公開された。

平山のアパートを訪ねてきたのは、家出をしてきた姪(めい)のニコだった。夕暮れの中で並んで自転車をこぐ2人。ニコは緩やかに流れる川を見つめて、「ここ、ずっと行ったら海行く?」と独り言のようにつぶやき、平山は「今度ね」と答え、ニコは「今度っていつ?」と笑顔を向ける。シーンは変わり、車の中でニコと話す平山は心からの笑顔を見せる。

平山の同僚タカシは、「平山さんって、結婚していないすよね?その歳でひとりで寂しくないんすか」と遠慮のない言葉を投げる。「金がないと恋もできないなんて、なんなんすか俺」と、下北沢の中古レコード店でカセットテープを手にしながら、タカシが不満を吐き出す。平山はなぜかタカシを嫌いになれないのだった。

ニコを演じた中野有紗は映画初出演。平山の前に久しぶりに現れる姪という、どこか思春期独特の雰囲気のあるキャスティングが必要だったと、共同脚本・プロデュースの高崎は語っている。また、タカシを演じた柄本時生は、高崎がベルリンで柄本の写真をヴェンダースに見せたことがきっかけで決定した。平山と対照的でチャランポランな男がいいと話し合いながら、写真の柄本をみて、「タカシがいた!」と嬉しそうにヴェンダースが叫んだという。

「PERFECT DAYS」は、東京・渋谷の公共トイレ清掃員の日々を描いた長編映画。東京・渋谷でトイレ清掃員として働く平山(役所広司)は、静かに淡々とした日々を生きていた。同じ時間に目覚め、同じように支度をし、同じように働く平山。その毎日は同じことの繰り返しに見えるかもしれないが、同じ日は1日としてなく、毎日を新しい日として生きていた。そんな男の日々に思いがけない出来事が起き、男の過去を小さく揺らす。

日本の公共トイレのなかに「small sanctuaries of peace and dignity(平穏と高貴さをあわせもった、ささやかで神聖な場所)」を見いだしたヴェンダース監督が、清掃員の平山という男の日々の小さな揺らぎを丁寧に描いた作品で、第76回カンヌ国際映画祭で役所広司が最優秀男優賞を受賞した。

【作品情報】
PERFECT DAYS
公開中
配給:ビターズ・エンド
© 2023 MASTER MIND Ltd.

© 合同会社シングルライン